FC2ブログ

記事一覧

旅立ち

Ⅰ殿は皆にこう言った。「もはやこれまでじゃ。」城は敵に完全に包囲されていた。殿は降伏よりも自決を選んだ。皆は次々と死んでゆき、殿と家老なる私だけが残った。「先にゆくがよいぞ。」殿はそうおっしゃった。私は覚悟を決め、刀を腹に向けて構えたまま、一呼吸した。正面に、観音さまの木像が祀ってあった。厨子の中に坐す尊像を見て、私はこう言った。「これであなたとも今生のお別れですね。」思いっきり、腹に刀を突き立て...

続きを読む

鷲ヶ岳より白山遥拝~新緑

令和三年五月十一日 山の庵を早朝に発つ夜来の雨はすでに止み うっすら見える雪の峰スキー場に出て登ってゆけば お姿現わす白山権現四十五分でスキー場頂に出 白山拝んで山道に入る白いタムシバの花と 白いオオカメノキの花見つつ鷲ヶ岳へと尾根歩む すでに雪なき鷲ヶ岳へとポポ。ポポ。と聞こえくる 林の中の鳥の声尾根の右にも左にも ポポ。ポポ。とツツドリの声中国古代の「詩経」には 「維(こ)れ鵲(かささぎ)巣有り ...

続きを読む

山の庵の桜の木 4

あしひきの 山の庵の桜の木 星と見まがう白き花 透かして拝む雪の山 蜜を求めて来る蜂の 軽き重みに揺れる枝 花の色香に照らされて ほのかに揺らぐこの心 花のすき間の白山は 微動だにせずわれらを照らすやっと来た 五月はじめの山の春 雪と寒さを堪え忍び 咲いた桜の花たちは 鳥や蜂には蜜与え わが心には光まく 枝に散りばむ光粒子 彼方にいます白き山 清き光に照らされて もろくたゆとう心は和(な)ぎぬむらぎ...

続きを読む

山の庵の桜の木 3

あしひきの 山の庵の桜の木 まだ雪残る白山の 清き光に照らされて 四月の二十六日に やっと開いた二三輪 雪の輝き受け取りて 風に揺らめく白い花 日に日に雪は融けゆきて 花は日に日に咲くだろう 白く輝く光明は 山の雪から桜へと さらに野人の心へと いや継ぎ継ぎにゆきわたり 穢れを清め闇照らし 万(よろず)のもののそれぞれに なすべきことをなすための 力と智慧を授けくださるぬばたまの 夜明けて見れば一輪...

続きを読む

笥笠中宮~白山加賀禅定道登拝2

(承前)大汝峰の雪と岩場を下り 拝む千蛇ヶ池と御宝庫(おたからぐら)六道地蔵より見下ろす室堂 まだ半ば雪に埋もれてる西日が照らす越前海岸 山頂部は北からの冷たい突風十七時半御前峰登頂 白山妙理大権現に観音経をお唱えし 白山権現王子眷属供養アイゼンはずして室堂平へと 別山望みつつ下っていった十八時すぎ室堂着 南無白山妙理大権現営業前の積雪期は 避難小屋として二階から入る凍てつくような寒さでないが 靴紐は...

続きを読む

白山順禮写真館

Haxanjunrei

松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝