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朝焼けの白山三所権現

 3月3日、満月の未明、半月前にも登った私の白山遥拝所へ。


鉄塔に着くと、西におぼろな満月。


北には、奥美濃の山々の彼方に白山のお姿。


やがて東方、恵那山の神坂峠から朝日が昇ってきました。


鉄塔下に坐し、朝焼けの白山に向かって観音経と念仏をお唱えしました。


向かって左の別山(本地・聖観音菩薩)と、右の御前峰(本地・十一面観音菩薩)の中央奥に輝く、大汝峰(本地・阿弥陀如来)。南から拝む白山三所権現は、山越来迎阿弥陀三尊。阿弥陀さまの眉間の白毫から発する光明に心を照らされつつ、正身端坐しました。
 白山とは、尸羅(しら)、即ち「戒」の山でもあります。中国天台宗の祖・天台智者大師の「摩訶止観」に、坐禅・念仏等の「三昧」の修行に入る前の準備として「二十五方便」が説かれていますが、その第一は「持戒清浄」。

「鄙極の罪人は、羞(はじ)なく耻(はじ)なくして畜生の法を習い、白浄第一の荘厳を棄捨す。」(「摩訶止観」)

菩薩の守るべき、梵網経の十重禁戒に照らして、己れを省みました。

 一、殺生戒 二、盗戒 三、淫戒 四、妄語戒 五、コ(酉偏に古)酒戒。
お釈迦さまの説かれたこの五戒は、何千年経っても色あせることのない、人類の基準です、ニュースや新聞で毎日報道される悲惨な事件のほとんどは、この五つに含まれています。「コ酒戒」とは、酒を売り買いしないこと、即ち人の心を昏迷させないことで、梵網経四十八軽戒には飲酒を戒める「飲酒戒」もあります。この戒の正しさは、飲酒運転による悲惨な事故を経て、今世紀になってようやく飲酒運転が厳罰化されたことからも、明らかです。
「修行者は用にもないことを楽ぬ者也。増て怨と成悪事は、づんと止むべし」「修行者はたばこも呑は悪き也。」(「驢鞍橋」)
行者は下戸でありたいものです。
 六、説四衆過戒。人の過ちを言い触らすこと。
七、自讃毀他戒。人のことを悪く言って、自画自讃すること。
私もやりかねないことで、気を付けねばなりません。人のことを悪く言えば、いつか必ず、何らかの形で自分に返ってきます。他人の醜聞にこだわって自分の心を汚すより、清浄なものに触れて己れの心を少しでも清めてまいりたいもの。
「悪事は自(みづか)ら己れに向へ、好事は他人に与ふべし」(「梵網経」)。
伝教大師(最澄上人)の「忘己利他」のお示しも、自讃毀他戒を踏まえた教えでありましょう。
 八、慳惜加毀戒 九、瞋心不受悔戒。
物惜しみすることと、怒ること。自分が質素に暮らすのはよいとしても、人にまでケチになってしまっては、何事もうまくいかないものだ・・・と、つくづく感じます。人から恩を受けっ放しでお返ししなければ、苦しみが尽きることはありません。そして、自分の思い通りに行かないと怒りたくなる・・・。しかし、世の中、自分の思い通りに行かないことの方が多いものです。生老病死、愛しい者と別れ、憎たらしい奴に会い、求めるものは得られず、身心は意のままにならず・・・。
「三界は安きこと無し、猶(な)ほ火宅の如し」(「法華経」)。
貪り・怒り・無明の心のままに順えば、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道、欲界・色界・無色界の三界をグルグルと輪廻し続ける元を、さらに作ることになります。

まうねん(妄念)のまろうど人はあらばあれ
なむあみだ仏ぞあるじならまし(「念仏草紙」)。

心を順えるあるじ、八万四千煩悩の主人となるものは、南無阿弥陀仏です。
 十、謗三宝戒。仏法僧、即ち、仏さまとその教え、教えを実践してゆく者を謗ること。千三百年前、泰澄大師が白山の御前峰・別山・大汝峰に三所権現の本地仏を感得して以来、白山は神仏習合の霊山として崇められ、たくさんの仏像が祀られ、経典が読誦され、越前・加賀・美濃の三馬場の衆徒や山伏が修行してきました。しかし、百五十年前の明治維新後、神仏分離令によって広大な白山上からすべての仏像は下山、あるいは破壊され、山麓の寺も廃寺、あるいは衰退し、古の禅定道や行場は藪に埋もれました。十方三世の諸仏菩薩から見れば、こんなことも、一点の濁りにすぎないのかもしれません。白山の美しいお姿に観音さまの慈悲心を拝み、観音さまに導かれて登拝し、み仏に帰依し礼拝供養し、古の行者と未来の行者を繋ごうとする者は、決して絶滅することはないでしょう。
「我レ普賢ノ行ヲ修シテ無盡ノ世界ニ普クシ、諸衆生を引導シテ無上菩提ヲ證セン」(藤原敦光「白山上人縁記」、西因上人願文)。
九百年前、白山で43年修行した白山加賀馬場・笥笠中宮(けがさちゅうぐう)神宮寺の西因上人が、阿弥陀さまを祀って昼夜不断の念仏三昧を行じたのは、「末法万年之間、弥陀ノ一教ヲ遺ス可キ之故」でした。上人の一万年の行願を、この末法の世に相続してまいりたいものです。
 鉄塔下に一時間ほど坐し、白山三所権現即ち阿弥陀三尊に投地礼して下山しました。


南無帰命頂礼仏法大棟梁白山妙理権現
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝