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鳩居峯五宿巡拝~白山遥拝

 長良川上流、白山美濃馬場・中宮長瀧寺から尾根伝いの古の修験の行場「鳩居十宿」のうち、五宿を一年半前から毎月二回巡拝させていただいておりますが、いつも喰わず・座らず・撮らずと決め、余計なモノは持たずに入峯しています。朝から下山するまで何も食べないのは、山を汚さぬ為であり、積雪期は二mを越す雪を踏み、無雪期は二mを越す藪を漕ぐ十時間前後の行中、山中で野グソたれたり腹痛になってるヒマなぞないからです。座らない・撮らないのも同様で、さらに、一心に行脚して各宿(行場)で本地仏に読経礼拝する為、撮った写真を人に見せびらかそうとする心を遮す為です。しかし、今回は白山権現に二ヶ所での撮影を申請し、ケータイカメラを持参しました。五宿を巡拝するには三ノ宿・西山・毘沙門岳と、千三百m以上の峰々を縦走してゆくのですが、西山から拝む白山のお姿は尊く、しかも、激しい藪が雪に埋もれた時期の晴れた日にしか拝むことができません。西山からの白山の写真は八年前の少しボヤけたものしかなく、白山仏法興隆の一助になれば、と、好天の本日(2018年3月10日)撮らせていただこうと思ったのでした。
 作務衣にカッパ、長靴姿で長瀧寺より入峯。長瀧寺境内は、まだ厚い雪に覆われています。かんじき履いて登ってゆきましたが、上の方は雪がほどよく引き締まっており、かんじきを脱ぎました。五十分ほどで一ノ宿参拝。お堂の周囲は一面の雪ですが、湯呑みや、正月七日にお供えしたお餅が姿を現わしていました。陶器の湯呑みは、中に詰まっていた氷が膨張した為か割れていました。昨年(2017年)3月14日の巡拝の際も同様で、毎年この時期に割れてしまいます。氷に耐え得る器を奉納しようと思います。一ノ宿の本地仏は、不動明王。不動明王から勇猛の機を受け、登ってゆきました。
 一ノ宿から一時間弱で越前美濃国境の尾根に出、雪上をサクサクと縦走。樹間の白山は雲をまとっていました。タヌキ君にご挨拶。入峯から二時間弱で二ノ宿参拝、白い大日ヶ岳を拝みつつ、二ノ宿本地・万徳円満のお釈迦さまを礼拝供養。三ノ宿への登り、雲間に白山三所権現のお姿が拝めました。入峯から三時間弱で三ノ宿三角点登頂、三ノ宿の本地仏は阿弥陀如来。雪の舞う中、写真を一枚撮りました。


毘沙門岳の真後ろに白山三所権現(向かって左に別山(本地・聖観音菩薩)、右に御前峰(本地・十一面観音菩薩)、中央やや右よりに大汝峰(本地・阿弥陀如来))。白山から向かって右の大日ヶ岳へ、左の石徹白の山々へと続く白い両翼。毘沙門岳左手前の西山から右奥の大日ヶ岳へと続く、鳩居峯。白山三所権現、即ち阿弥陀三尊に向かって念仏をお称えし、東日本大震災で亡くなられた方々や、先立った親族の菩提を弔いました。
 三ノ宿から鞍部へ下り、作業道の厚い雪を上へ。日差しに雪が緩んで足を取られます。しばらく、かんじきを履きました。西山への尾根の雪庇は引き締まっており、冷たい西風の中を行道。乗鞍、槍・穂、立山の白い山並。越前の山々は、一様に山上に雲。入峯から四時間のハイペースで西山に登頂、雲が去来する白山に掌を合わせ、写真を撮らせていただきました。


シャープな別山(聖観音菩薩)とやわらかな山頂・御前峰(十一面観音菩薩)の中央奥に頭を覗かせる、大汝峰(阿弥陀如来)。御前峰の右には南白山、別山の左には三ノ峰が侍しています。

「白山の西因上人かたりけるは、三所権現は阿弥陀・聖観音・十一面の垂迹也」(「続古事談」)

平安時代後期の保安2年(1121)、白山加賀馬場・笥笠中宮(けがさちゅうぐう)神宮寺に半丈六の金色の阿弥陀如来像を祀り、昼夜不断の念仏三昧を行じた、西因上人。上人は肥前国松浦郡出身、比叡山で受戒して各地で難行苦行の後、白山で四十三年修行して念仏三昧を発願されたそうです(藤原敦光「白山上人縁記」)。
加賀とは反対側の此処から白山の「山越来迎」のお姿を拝むと、西因上人の行願の尊さが、ひしと感じられます。

「弥陀ノ白毫一タビ照ラサバ、煩悩ノ黒業悉ク除カレン。」(「白山上人縁記」、西因上人願文)

白山の白浄の気を受け、八万四千・無尽の煩悩の黒業を念々に清めてゆくこと。それが白山の順礼であり、苦しみの三界・六道を出離して菩提に・涅槃に・浄土に到る道であろうと思います。


 西山から、毘沙門岳との鞍部の多和ノ宿へと降下。


毘沙門岳の背後には大日ヶ岳、さらに大日ヶ岳から白山方面へ、神鳩(かんばた)宿まで続く鳩居峯。長瀧寺からの白山美濃禅定道は、毘沙門岳と大日ヶ岳の鞍部の旧桧峠で行者の尾根(鳩居峯)と交差し、石徹白に下って中居神社から山に入り、神鳩宿を経て別山、御前峰、大汝峰へと続いています。雪がもう少し固まってきたら、鳩居峯の五宿目から先の巡拝や、十年ほど続けている白山三禅定道登拝の季節がやってきます。多和ノ宿の二mほどの案内板は、雪に埋もれて全く見えず。本地・毘沙門天から天邪鬼を踏みつける機を受け、西風の中、毘沙門岳へと雪上を登ってゆきました。
 入峯から五時間強で毘沙門岳登頂。北に白山と大日ヶ岳、北東に立山から乗鞍までの山並。南には高賀山や滝波山・平家岳。南西から西は相変わらず雲。十方三世の諸仏を拝みました。暫しかんじき履いて桧峠へと下り、雪上に上半身を現わした泰澄大師像に参拝。3月18日は大師のご命日。白山仏法興隆を祈願しました。入峯から七時間弱、国坂宿参拝。2月20日に参拝した時は、雪下1.5mに屋根の庇が現わわれましたが、今日は雪上に屋根が見えていました。本地・十一面観音さま、即ち白山妙理大権現に観音経読誦。江戸時代前期の禅僧・鈴木正三和尚の言行録「驢鞍橋」に、

「肥前の国温泉(うんぜん、雲仙)の本尊は、四面菩薩と云。是四方八方に機の入渡ったる位也。十一面観音と云も其心也。扨(さて)亦如来の湛然として在(ましま)すも、機の十方に円満せる處也。」

とあります。ふと、昨年(2017年)秋、郡上白鳥の正法寺・西澤管主のご案内で参詣した、京都東山・永観堂の「見返り阿弥陀」を思い出しました。

「仏像は何より出たると思や。仏心より出たり。」(「驢鞍橋」)

 旧桧峠から、古の禅定道を降下。前谷まで積雪たっぷり。かんじき履いて下りました。茶屋峠のお地蔵さまも雪の下。入峯から九時間半弱で長瀧寺に戻りました。尚、千三百年ほど前に白山を開山された泰澄大師のご命日・3月18日午前9時より、長瀧寺の向かいにある白山長滝公園・白山文化博物館横の泰澄大師像前にて、泰澄大師忌法要がございます。白鳥の正法寺・西澤英達管主が、三十年ほど前から地元の方たちと続けておられる法要です。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝