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この一年に出会ったカメムシたち

 2020年10月5日、涼しい山の庵に帰ってみると、見慣れぬカメムシが出迎えてくれました。
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(岐阜県郡上市)
頭から背面は褐色ですが、腹部や脚は鮮やかな緑色、そして長い触覚と肩から生えるカッコいいトゲは、赤色。ミナミトゲヘリカメムシです。かつて日本では南西諸島のみに棲息していたようですが、地球温暖化の影響でしょうか、棲息域を北へ広げ、現在では関東地方でもみられるカメムシです。
 ちょうど一年前の2019年10月6日、岐阜市内で同じく南方系のキマダラカメムシと出会いました。
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とても大きなカメムシです。もともと東南アジア、台湾、中国などに棲息するカメムシでしたが、1775~76年(安永4~5年)にオランダ・東インド会社の外科医として長崎の出島に滞在したスウェーデンの医学者・博物学者、カール・ツンベルク(Carl Thunberg)に採集されて帰国後の1783年に新種として記載され、二十世紀中ばまでは長崎を主なねぐらとしていました。その後九州北部に進出、さらに二十一世紀に入ると本州へ上陸し、現在では関東地方でも見られます。昨年(2019年)はその後、11月5日に岐阜県山県市で
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12月17日には福岡県太宰府市でもキマダラカメムシと出会いました。
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今年はまだ、出会えていません。
 山県市では、キマダラカメムシと出会った前日の11月4日、マツヘリカメムシにも出会いました。
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もともとアメリカ西部のウエスタン・カメムシでしたが、アメリカ東部へ、さらに二十世紀末にはヨーロッパへ進出、二十一世紀に入ると日本にも上陸し、東京西部から関東、そして日本全土に進出中です。キマダラカメムシがかつてオランダ船や中国船に乗って長崎に渡来したように、マツヘリカメムシは飛行機に乗ってヨーロッパへ、そして日本へと分布を広げたのでした。現代の人類による高速かつ大量な輸送システムは、アリもクモもカメムシも、そしてコロナウイルスも、瞬く間に遠く離れた地へと連れていってしまうのです。
 今年(2020年)はCOVID-19のパンデミックで、春になっても5月までは遠出できませんでした。6月、白山美濃禅定道登拝時に残雪上で様々なカメムシたちと出会えました。

ハサミツノカメムシ(メス)。
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(2020/6/8、白山美濃禅定道・二ノ峰~三ノ峰間)
オスには、お尻に赤いハサミがあります。
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(ヒメハサミツノカメムシ、2019/5/24、白山美濃禅定道・大屏風~御舎利山間)

トホシカメムシ。
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(2020/6/8、白山・室堂平付近)
なかなかオシャレな鎧です。

オオツノカメムシ
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(2020/6/9、白山美濃禅定道・大屏風~御舎利山間)
お尻のハサミはハサミツノカメムシよりも控えめですが、肩の鋭く赤いツノがカッコイイ!私もこんな肩パッドほしいです。白山の残雪上では、毎年いろいろなカメムシと出会えます。こんなに高い所まで、風に乗って運ばれてくるのでしょうか。
 7月31日、岐阜市で出会った愛のカメムシ。
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エサキモンキツノカメムシです。チョコ地に白いハートのマーク。バレンタインにはこのカメムシを贈ってみてはいかがでしょうか?
 そして10月5日、涼しい山の庵で出会ったミナミトゲヘリカメムシ。
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(岐阜県郡上市)
スマートな体形、オオツノカメムシほど立派ではないものの、シャープでわずかに弧を描く品のいい肩パッド。世間の人々は、カメムシと聞けば鼻をつまんで追い出そうとします。が、こんなに自然の造形美に富んだ見事なプロポーションのボディの生きものたちは、他にそうそう見当たるものではありません。屁(へ)の香りも種類によって違います。「クサい!」という先入観とレッテルを捨てて、カメムシの発するアロマをじっくりと嗅ぎ比べてみるのも一興でしょう。カメムシをさほどクサいと感じない私は、いつもいつも感じるのです。人間のカメムシに対する偏見と、差別を。

  
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Haxanjunrei

松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝