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マダニフィストの再来~鳩居峯

 俺の名はマダニフィスト、ある野人の心に寄生している魔ダニだ。十ヶ月近くもどこに隠れていたのかだって?それはこっちのセリフだぜ。なにしろCOVID-19とやらがアンタらの間で流行り出してからというもの、アンタらはめっきり山に来なくなったからな。
 アンタが昔の白山美濃馬場の山伏の行場・鳩居峯のうち、五宿目まで徘徊したのも、十ヶ月ぶりだ。雪が深いだの、疫病だの、暑いだのとブーたれては山に来なかったり、来ても途中の三宿目や四宿目までで下ってたんじゃ、俺さまのお目にかかれないのも当然だろう。今回は久々に喰わず座らず五宿徘徊してくれたんで、俺はアンタの腰に喰い込んでやったのさ。
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アンタは二日間気づかなかったけどな。
 長瀧寺から裏山に入って一ノ宿へ。
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そこからさらに薄藪登れば、樹間に桧峠越しに見える白山三所権現さん。
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二ノ宿どこだが分からねぇが、苔むした石がいくつか点在する処はある。
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三ノ宿への谷の登り、渇れることのない清水が潺々と流れる。
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谷に咲くのはハクサンカメバヒキオコシ。
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三ノ宿に出てみりゃ、北の毘沙門岳の後ろの白山は雲隠れ。
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此処までアンタの足で三時間半、念仏称えてお彼岸供養ときたもんだ。
 鞍部に下って登ってゆけば、道端に咲くハンゴンソウ。
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やがて西山の藪に突入。二~三mの笹藪漕いで、藪に覆われた山頂へ。大きなミズナラの樹に倒れかかった大モミジ。
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忘れもしない二年前、2018年9月の台風。根こそぎ倒れた樹も少なくなかった。西山から足の踏み場もない藪天国を下ってゆけば、俺らの有難い供養も受けられるってもんだ。鞍部の多和ノ宿も草茫々。
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俺らは毎日お参りしてるぜ。
 毘沙門谷を彩る、ハクサンカメバヒキオコシの花。
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枯れ落ちたサワアジサイは、まるでサンゴのように美しい。
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谷から藪漕ぎゃやがて稜線、ちょいと登れば毘沙門岳頂。南にゃ西山・三ノ宿、彼方に平家岳・美濃平家岳・滝波山、そして高賀山。
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東に鷲ヶ岳。
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北の白山は、別山が雲から姿現わしてた。
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 入峯してから八時間、アンタは桧峠に下った。以前、アンタがいつもお水をお供えして読経してた泰澄さんの石像が、台座だけ残して跡形もなくなっているのにアンタ驚いてたな。
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五宿目の国坂宿で観音さん供養、旧桧峠から昔の白山美濃禅定道を降下。
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キクやツリフネソウ見つつ茶屋峠、そして床並社跡へ。
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棚田の跡にゃオオハンゴンソウが茂ってるぜ。
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 アンタは神さん仏さんには読経礼拝するし、獣や虫や花にも挨拶する。だけど人には挨拶したりしなかったりなのは、どういうワケかね?常不軽菩薩さんはどんな人をも、たとえ怒鳴られ石を投げつけられても礼拝したというじゃねぇか。なぜかって?みんな未来の仏さんだからだ。俺らだって未来の仏なんだよ、今はこんな恰好してアンタらの血をいただいてるけどな。
 長良川渡って駒の尾の滝拝み、鉄塔から白い仏岩と大日ヶ岳を拝む。
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アンタと俺が歩いてきた三ノ宿・西山・毘沙門岳。
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御坊主ヶ洞へ下れば既に薄暗く、五百年の昔、敬愚比丘が焼身供養された見附ノ大岩で念仏唱える。敬愚さんは身をもって白山権現を供養された。それだけぢゃない、白山有縁の生きとし生けるものたちを、アンタらや俺らをも供養されたのだ。
 敬愚さんは永正15年(1518)、長瀧寺の一切経蔵の制札を書いた。

「当経蔵に於て、他所の人卒爾に入る事、停止せしむる者也、仍って一山之衆議件の如し。」(原漢文)

敬愚さんが守ろうとした宋版の一切経と共に中国から伝わり、一切経を守護していた韋駄天像と善財童子像は、今も長瀧寺に残っている。その合掌した姿に、俺は敬愚さんの心を見る。一切衆生喜見菩薩の、常不軽菩薩の、観世音菩薩の心を見る。仏像は骨董品ぢゃないぜ、見世物ぢゃないぜ。物質的にキレイだのキタナイだの、どう修復しただのなんてことよりも、何の働きをしておられるのか、誰を拝み誰を救おうとしておられるのか、その心が大事なんだぜ、なぁ先生よ。
 御坊主ヶ洞を下れば麓はもう暗く、山の上に三日月。
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十一時間半ご苦労さん。二日後、アンタは俺に気づき、熱いシャワーかけつつ引き抜こうとした。そうは問屋が卸さねぇ。引っこ抜けたのは俺さまの下腹部だけで、俺の胸から上はアンタを放しゃしないのさ。
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Haxanjunrei

松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝