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白山加賀禅定道登拝~衆華争開・前

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 例年なら、この時期にはすでに白山三馬場の禅定道(越前禅定道・加賀禅定道・美濃禅定道)を登拝し終えているのですが、今年(2020)はCOVID-19の流行に連日の梅雨空も加わり、先月(6月)に美濃禅定道を登拝したのみ。7月16~17日は曇りの予報、白山加賀禅定道を登拝することにしました。
 7月16日15時すぎ、白山加賀馬場の笥笠中宮(けがさのちゅうぐう)に参拝。
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保安2年(1121)、肥前国松浦郡出身で白山で四十三年修行された西因上人が、笥笠中宮の神宮寺に阿弥陀如来の像を祀り、十二人の僧侶を定め置いて昼夜不断の念仏三昧を行じられたのでした(藤原敦光「白山上人縁記」)。西因上人の願文と念仏、笥笠中宮本地・如意輪観音さまご真言と白山三所権現ご宝号をお唱えし、「行ってまいります」とご挨拶。笥笠中宮から加宝神社へ下る道は長びく雨のためか通行止、車をハライ谷登山口へと進めました。
 ハライ谷登山口を15時半に出発。曇り空で空気はひんやりとしていますが、湿度は高く、登ってゆくと汗が出ます。ギボウシ。
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ヤマアジサイ。
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連日の雨にぬかるんだ山道、薄明るい霧、幽(かそ)けき雨。17時に檜新宮(ひのきのしんぐう)参拝、本地・地蔵菩薩に般若心経をお唱えしました。
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しかり場に出、長大な尾根を南へ縦走。足元に現われたギンリョウソウ(銀龍草)。
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九頭龍を想わせるギンリョウソウですが、その果実はまるでタコ入道。
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カッパを着るほどではありませんが、草木の露で膝から下はグショグショ。野人を出迎えてくれるゴゼンタチバナ、
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ササユリ、
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ニッコウキスゲ、
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ヨツバヒヨドリなどの花たち。
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18時半すぎ、順調に今日のねぐら・奥長倉避難小屋に着きました。天候は回復傾向、19時半には夕焼け空が拝めました。
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21時頃、小屋の二階から加賀の夜景を遠望。
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上空を見上げれば、大きく横たわる北斗七星。十一世紀、権大納言・藤原能信の作と伝わる「白山大鏡」には、白山三所権現(越南智(大汝峰)・白山(御前峰)・小白山(別山))と金剣宮・中宮・佐良宮・岩根宮の七社が北斗七星に準(なぞら)えられています。北斗七星を見上げつつ、白山七社大権現を拝みました。
 翌7月17日、朝4時半に奥長倉避難小屋を出発。雲はあるが好天、北に大笠山や笈ヶ岳。
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南にはこれから登ってゆく美女坂と、四塚山、七倉山。
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美女坂登って振り向けば、北に笥笠中宮の集落。
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5時すぎに美女坂頭に出、標高二千メートルの清々しい高原を行道。七倉山、四塚山、清浄ヶ原そして百四丈滝。
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十万年前、この清浄ヶ原の奥に標高三千メートル以上の成層火山があり、その溶岩流が清浄ヶ原を形成したのでした。
 高原に咲く、大小色とりどりの花たち。ニッコウキスゲ。
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ハクサンシャクナゲ。
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チングルマ。
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ハクサンコザクラ。
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6時前に天池着。
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白山には加賀禅定道の此処の他、南の美濃禅定道・油坂ノ頭の南にも天池があり、どちらにも室の跡があります。「荘子」内篇の冒頭に、北方にある「天池」から南方にある「天池」へと、鵬という巨大な鳥が飛んでゆく光景が描かれています(逍遙遊篇)。大鵬が白山北の天池から四塚山~大汝峰~御前峰を越え、白山南の天池へと飛んでゆく姿を想いました。
 天池から南東へ歩を進めてゆくと、現われたクロユリ。
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キヌガサソウ。
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油池に下れば、いよいよ四塚山への登り坂。ハクサンシャクナゲの花は、まるで十一面観音さまの宝冠のよう。
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十二世紀に書かれた藤原敦光の「白山上人縁記」に、白山は

「夏季秋初、気暄(あたた)かく雪消え、四節の花、一時に争い開く。」(原漢文)

とあります。十六世紀初めに書写された白山越前馬場・平泉寺の「白山権現講式」にも、

「衆華一時に争い開いて、三世一念の理を顕し、寒雪四季に消ゆること無うして、諸法本来の相を表す。」(原漢文)

とあります。残雪の融けた白山は、まさに衆華が一時に争い開いているのでした。

(続く)

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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝