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中居神社~白山美濃禅定道登拝・上

 毎年、残雪期に白山三禅定道を登拝しているこの野人も、今年(2020)はCOVID-19(世間では、いったいいつまで「新型コロナウイルス」と呼び続けるのでしょう?)の影響で登拝を控えておりました。6月8日、白山美濃禅定道を登拝。昨年(2019)は5月に白山美濃馬場・長瀧寺より古の美濃禅定道を大汝峰まで、十八時間歩いて登拝しました。今年はCOVID-19対策で登山にもブランクあり、念のため長瀧寺ではなく、石徹白の中居神社(ちゅうきょじんじゃ)から登拝することにしました。
 朝5時前、中居神社の大宮殿に参拝し、裏山へと続く古の美濃禅定道に入峯。
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以前は薄藪でしたが、2017年に草が刈られて歩きやすくなりました。浄安杉。
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斧石(よきいし)。
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四十分ほどで美女下社跡に参拝。
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八丁坂を下って犬石を過ぎると、昨年登拝時にはなかった山道が現われました。2017年に刈られた道は犬石から西側へ下って石徹白川沿いの林道に降りていますが、古の美濃禅定道は石徹白川ではなく支流の初河谷(はっこだに)へと降りていたはず。私も初河谷から美女下平まで、谷をいくつも渡りつつ歩いたことがあります。新たに刈られた道を辿ってゆくと、山腹を八つほどの谷を渡って下ってゆき、6時に初河谷に出ることができました。
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 初河谷から石徹白川沿いの林道を少し上ると、念仏坂。昨年まで、急峻な藪を北へ必死に登っていました。昨年夏以降に刈られたのか、念仏坂も復活。
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坂を登ってゆくと、ヘビの脱け殻が出迎えてくれました。
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鍋倉平へと登り、倉谷へ降下。
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いつもこの区間は、地形図見つつ藪中をさ迷うのを楽しみにしていたのですが、草が刈られて誰もが同じルートを歩けるようになりました。とても有難いと同時に、野人にとっては拍子抜けでもあります。道なき道を進んでゆく中に、野人と山との、野人と大自然との一対一の真剣な対話があるからです。
 鍋倉平から倉谷への下りも藪は刈られており、巨大な砂防堰堤の辺りに出ました。かつての垢離取場(こりとりば)はこの辺りにあったようですが、堰堤が作られる以前と以後では、谷の様子もだいぶ異なるはず。私はいつももう一つ上の堰で倉谷を渡っており、今回もそうしました。
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右岸の踏み跡を上流へ進み、山腹の藪を漕ぎつつ登って馬蹄形の大崩壊地へ。
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崖沿いに歩いて水の豊かな谷を遡上。7時半、頭上に樹齢千八百年の大杉がお姿を現わしました。
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熊清水で汗を流し喉を潤し、今清水社跡に参拝。
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此処から先は登山道。ウグイスなどの鳥の声聞きつつ登ってゆくと、カナヘビがカサコソとお出迎え。
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白山の生きものたちは皆、野人の兄弟姉妹です。
 おたけり坂を登り、わずかな残雪の母御石山を遥拝。
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9時前に神鳩(かんばた)社跡に参詣しました。
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朝はまだ涼しく、谷からカッコウののどかな響き。ホトトギスの声も聞こえます。やがてお姿を現わした別山。本地・聖観音菩薩に掌を合わせました。母御石より南に見下ろした石徹白の集落と、毘沙門岳。
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9時45分に銚子ヶ峰登頂、北に一ノ峰・二ノ峰・三ノ峰、そして別山を遥拝しました。
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 日差しはホットですが風は涼しく、さわやか。一ノ峰、二ノ峰の山道にはほとんど残雪がありませんが、山腹の残雪が冷気を送ってくれます。水呑権現にてお釈迦さまを供養。
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三ノ峰への登りの残雪は表面緩く、アイゼン不要でした。雪上のハサミツノカメムシのメス。
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白山の残雪には、様々なカメムシが見られます。正午に三ノ峰避難小屋着、三ノ峰に登って別山・御前峰・大汝峰と続く白山三所権現を遥拝しました。
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 別山平の御手洗池(みたらしいけ)は、まだ大半が雪の下。
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ハクサンイチゲの花に掌を合わせ、13時45分、別山登頂。
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御前峰・大汝峰には雲がかかっていました。
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別山社にて本地・聖観音さまに般若心経読誦。ふと、社殿に大きなテントウムシがいるのに気づきました。
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カメノコテントウです。こんな山上でカメノコテントウに出会うとは。社をお守りしているのでしょうか。白山妙理大権現に掌を合わせました。別山から御舎利山を経て、油坂ノ頭へと縦走。大屏風の崖を、カモシカが一頭駈けてゆくのを見ました。
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よくもこんな処を走れるもんだ・・・と感心せずにはおれません。
 天池はまだ雪の下。15時半前に油坂ノ頭着、再びお姿現わした御前峰。
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油坂の残雪には、処々に山道も現われています。赤谷に下って汗を流し喉を潤し、南竜ヶ馬場へ。
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残雪辿りつつ、室堂平へと一歩一歩登ってゆきました。
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雪上に拝んだトホシカメムシ。
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18時に室堂平に出、いよいよ御前峰へ。
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別山方面は雲。
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18時45分、御前峰登頂。
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大御前社にて本地・十一面観音さまに観音経をお唱えし、白山有縁の生きとし生けるものの幸いをお祈りしました。
 御前峰から、大汝峰へ。
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千蛇ヶ池には高さ二十メートルはあろうかいう雪の壁があり、半円状にクレバスもできています。
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やがて夕日が雲に呑みこまれました。
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19時半、大汝峰登頂。
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中居神社出発から十四時間半。南東に大半が氷に覆われた翠ヶ池と、剣ヶ峰・御前峰。
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北側には七倉山・四塚山、そして加賀平野の夜景。
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大汝社にて本地・阿弥陀さまに笥笠(けがさ)神宮寺の西因上人の願文(保安2年(1121))と念仏をお唱えし、二十二年前のこの日に亡くなったわが子を偲びました。細菌感染でわずか二日の生涯でしたが、フサフサの髪をしていた彼が私の指を握ったこと、そして、純真無垢な瞳で私の顔を見つめたことを、私は生涯忘れはしません。彼はたった二日の生涯の中で、己れの運命を生き死にしたのでした。

稚(わか)ければ道行き知らじ弊(まひ)はせむ黄泉(したへ)の使負ひて通らせ
(山上憶良、「万葉集」九○五)

(続く)
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝