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パンデミック訳「老子」17 衣食住

 老子爺さんこう述べた。

「あでやかな色彩は人の目を眩ませ、
垂れ流される音楽は人の耳を聞こえなくし、
贅沢な味つけは人の舌を麻痺させる、
騎馬や狩猟は人の心を熱狂させ、
得難い財産は人の行動の妨げとなる。
だから聖人の治世とは、
人々が腹を空かさぬようにして、目や口の楽しみのためにしない。
故に目・耳・口より腹を取る。」
(「老子」第十二章)

ナイトクラブで、ライブハウスで、合唱団で、料理店で、スポーツジムで、病院や福祉施設で発生した、新型コロナウイルスのクラスター感染。緊急事態宣言が解除されても、当面はクラスター感染の発生に十分に気をつけねばなるまい。と同時に、人々がまともに生活できるようにもしてゆかねばなるまい。老子爺さんの勧める素朴な生活は、外出自粛が緩和されてからも私たちの指針となり得るだろう。

「人々が飢えるのは、お上(かみ)が税金をたくさん取るからだ、だから飢える。
民衆がうまく治まらないのは、お上がことさらなことをするからだ、だから治まらない。
民衆が命を軽んじるのは、お上が自分の生活の充実ばかり求めるからだ、だから命を軽んじる。
自分の生活ばかり求めぬ者こそ、自分ファーストな者に勝(まさ)る。」
(「老子」第七十五章)

新型コロナウイルスの影響で、すでに百五十近い企業が倒産している。職を失った人も少なくない・・・。このような状況下で、検察官の定年を延長する法案に人々がかみつくのも無理はない。明日の糧にも困っている人が増えつつあるのに、なんでそんな法案を先に通すのか・・・。老子爺さんの古くて新しい言葉は、日本のみならず、パンデミック下のあらゆる国々にもあてはまりそうだ。

「民衆がお上の権威を畏(おそ)れなくなれば、
大きな脅威となるだろう。
民衆の居場所を縮めてはならない、
民衆の生計を圧迫してはならない。
圧政さえしなければ、厭がられることはない。
だから聖人は自らを知りつつも、ひけらかさない。
自らを大事にしつつも、驕り高ぶらない。
故に傲慢さよりも素朴さを取る。」
(「老子」第七十二章)

失業率が高まり、居場所を失う人が増えれば、国家にとって大きな脅威となるだろう。このような時にお上が自分の利益を優先するそぶりを示せば、民衆は黙っちゃいられない。目や耳や口の欲はまだガマンもできよう。だが、着る物・食べ物・居場所に困るのは、皆ガマンできぬ。

「民衆の大きな怨みを和らげても、
必ず怨みは残るもの、それでよかろうはずはない。
だから聖人は割り札を左証としてとっておくが、
人から取り立てるようなことはしない。
徳のある者は人から左証をとって貸しておき、
徳のない者は貸さずに税を取り立てる。
天の道は公平だ、いつも素朴な善人に手をさし伸べている。」
(「老子」第七十九章)

天地自然の道から、私たちはたくさんのものを借りて生きている。水、空気、光、熱。着る物、食べ物、居場所。この心と身も、天と地から借りているにすぎない。すべてのものは天地自然からの借りものだ、いずれこの身も返すことになる。天地自然は取り立てない、だから性急にこの身を返すには及ばない。苦しい時は、人の助けを借りよう。余裕があるなら、人に力を貸そう。余った分で不足を補う、それが天地自然の道なのだ。

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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝