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コロナ・トンネル

山と放浪愛する者が
山にも旅にもゆけなくなれば
彼の心は眠りの中で
不思議な世界にさまよい出るのだ

とある田舎の観光地
コロナせいで客は少ない
小高い丘の上へと続く
曲がりくねった石畳の路
朝のゴミ出しに歩く村人
麓の集落望めるスポット
山の斜面の小さな村を
モロ松一人で登っていった

峠越えると反対側に
大きな土産屋現われた
まだ朝早いがこちら側には
団体客が到着していた
人混み避けつつモロ松は
実家や息子に送ろうと
土産になるモノ探したが
品揃え薄く買うのをやめた

ほど遠からぬ麓の町に
何かの研究所があった
裏には大きな寺院跡
小道を抜けて入っていった
石敷きつめた広大な床
高くそびえる大理石の壁
壁と床しか残っていないが
奥の壁には宝玉があった

研究棟はガラス張り
中で働く白衣の男
遺跡の石畳の上を
自転車でよぎる白衣の女
どうやら彼らは新型コロナの
薬の開発しているらしい
モロ松彼らに頼みこみ
雇ってもらうことにした

そのコロナ年の歳の暮れ
モロ松は器具を洗い終え
階下にゆくべく廊下へと出た
エレベーターで白衣の女が
扉を開けて待っててくれた
モロ松が器具の洗い方につき
些細な小言を女にいうと
階下で彼女は走って去った

モロ松はバスで家路についた
前の席には高齢の婦人
ある停留所でサラリーマンが
「よいお年を」と挨拶していた
一人の男が乗ってきて
最前列の席に座った
扉が締まりバスは発車し
地下トンネルへの下りに入った

突如、最前列の男が
立って運転席に向かった
「アッ」と叫んだ運転手
男の手には包丁があった
男は矢継ぎ早に何かし
たちまちモロ松の前に立った
包丁右手に無表情な目で
「オラオラ、おめぇも死ぬんだ」と言った

刃向かうすべなくモロ松は
首の左を切りつけられた
次いで男は左手で
モロ松ののどを押さえつけた
モロ松必死に左手で
包丁奪ってうなじを刺したが
奴は変わらず無表情だった
トンネルは深く 暗く 長かった・・・
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