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パンデミック訳「老子」7 道にかなう

 老子爺さんこう述べた。

「よく建てられたものは抜けず、
よく抱かれたものは落ちない、
子孫は絶やさずに祖先を祀るだろう。
道にかなった生活を自身で実践すれば、
その徳はホンモノだ。
道にかなった生活を家庭で実践すれば、
その徳は有り余る。
道にかなった生活を地域で実践すれば、
その徳は長くつづく。
道にかなった生活を国で実践すれば、
その徳は豊かにみのる。
道にかなった生活を天下で実践すれば、
その徳は広くゆき渡る。
だから、身を修める道から自身を見つめ、
家庭を斉(ととの)える道から家庭を見つめ、
地域を治める道から地域を見つめ、
国を治める道から国を見つめ、
天下を泰平にする道から天下を見つめる。
私はこのようにして、天下の情勢を掴むのだ。」
(「老子」第五十四章)

新型コロナウイルスの流行が拡大している今、道にかなった生活とは、人から人への感染を減らすべく、なるだけ外出をしないことだろう。新型コロナウイルスに強い危機感を覚えるのは、現に感染が発生している地域の人たちだ。自発的に外出を自粛しても、周りの人たちが出歩きたむろしているなら感染拡大は収まらない。そこで家庭で、さらに市町村や都道府県で不要不急の外出を自粛することになる。感染が全土に広まれば、地方自治体の長が国に対策を要望する。だが、広範囲の災難にこの国の政府は迅速に対応できない。頭のよすぎるお堅い先生方は、モッタイぶって七都府県だけに緊急事態を認めた。感染者が日に日に増えることに危機感を募らせる地方自治体は、国が動いてくれないのなら、と独自に緊急事態宣言を発令し始め、近隣の県同士が歩調を合わせている所もある。企業や店舗も各自で対策をとり、「三密」を避ける工夫をし始めている。公助がなけりゃ共助・自助でやってゆくしかないのだ。危機感をもつ市民は、地方自治体の宣言でも真面目に受け容れる。危機感のない国民は、国の宣言にすら馬耳東風。国がこの国難に公平迅速に対処できないのなら、道州制を敷き、各地域の実情に合わせて対処した方がベターだろう。(4/16追記:4月7日より七都府県のみに発令されていた緊急事態宣言は、4月16日、全国に拡大された。)

「大いなる道を掌握すれば、天下の人はみな帰順する。
帰すれば害なく、太平安楽。
音楽や食事には、来客たくさん集うもの。
道というものは、あっさりしていて味がない。
視れども見えず、聴けども聞こえず、
だからけっして飽きがこないのだ。」
(「老子」第三十五章)

ライブハウスで、ナイトクラブで、飲食店で、合唱団やスポーツジムで、福祉施設や病院でも続発する「クラスター」感染。それまで感染者の少なかった地域も、クラスターが発生すれば見るまに感染者が増えてゆく・・・。今は遠出をせず、密閉空間・密集場所・密接場面を作らぬことが、COVID-19を広めぬ道。空気をおいしく味わい、雲や星を見上げ、鳥や風の声に耳を傾けられる、よい機会だ。

「最も好い統治者は、民衆にただその存在を知られる。
その次は、民衆に親しまれる。
その次は、民衆に畏れられる。
その次は、民衆に侮(あなど)られる。
誠実さが足りなければ、民衆は彼を信じない。
最も好い統治者は、なんと深く言葉を慎むことか、
立派に事を成し遂げても、民衆は思うのだ、
「我らは自(おの)ずからにこうなったのだ」と。」
(「老子」第十七章)

「ウイルスとの戦争」とよく言われる。いつか人類がこのCOVID-19との戦いに勝ったとき、人類は科学の力で、人類の叡知で勝ったのだ、と思いこむだろう。大いなる道・天地の母は、そ知らぬふりして、重く微笑むだろう。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝