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白山美濃禅定道登拝・上

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 10月23日、石徹白の大杉より白山美濃禅定道登拝。五ヶ月前(5月23日)は白山美濃馬場・長瀧寺(ちょうりゅうじ)から山越え谷越えの古禅定道を六時間歩いて大杉を拝み、さらに白山まで登りましたが、日も短くなった今回は長瀧寺参拝後、車で大杉登山口へ。長瀧寺は満天の星空。北に北斗七星、南にオリオン。人工衛星の光も見えました。
 朝6時すぎに大杉登山口出発、今清水社跡に参拝。
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「今冷泉の室長滝寺の僧壱人篭る。この所に名木の杉あり。凡そ十人して囲むに猶あまれり。ここに白山を勧請したる社有り。本地地蔵を安置す。」(野路汝謙「白山紀行」(十七世紀後半))

樹齢千八百年の大杉は、一部黄色く色づいています(巻頭写真)。大杉に掌を合わせ禅定道を登ってゆくと、初河山(はっこやま)より朝日が差してきました。
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おたけり坂を登り、かむろ杉越しに雲海の下に石徹白、雲海の上に毘沙門岳・西山・三ノ宿など古の長瀧寺の山伏の行場「鳩居峯」の山並を遥拝。
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彼方には滝波山・美濃平家岳・平家岳が頭を出し、高賀の山並も見えます。長瀧寺から尾根伝いに三ノ宿~西山~毘沙門岳~大日ヶ岳~芦倉山~丸山と続く鳩居峯は神鳩(かんばた)で美濃禅定道と合流し、神鳩までに九あるいは十の宿(堂)がありました。入峯から一時間、色づいた樹間に丸山を遥拝。
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神鳩宿跡にて本地・虚空蔵菩薩に般若心経をお唱えしました。「白山紀行」には

「上鳩に不動を安置す。此室長滝寺の行人山伏篭る。」

とあります。
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 母御石より別山を遥拝。
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爽やかな好天、草の露にじっとり濡れた靴。膝から足を覆う防水カバーは必携です。私は藪をよく歩くので、登山用の足カバーよりも作業用の足カバーを重宝しています。登山グッズは野人にとってはムダに高価で、さほど長持ちもしないものです。8時前に銚子ヶ峰登頂。これから歩いてゆく一ノ峰・二ノ峰・三ノ峰、そして別山。
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別山本地・聖観音菩薩を拝んで縦走、東に紅葉の尾上郷と丸山、彼方に冠雪した御嶽山・乗鞍岳・北アルプス。
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白山はまだ冠雪しておらず、今日も上着のいらない気温です。南西には願教寺山や野伏ヶ岳の山並の彼方に荒島岳・能郷白山・伊吹山。
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一ノ峰の先で拝んだリンドウ。
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水呑釈迦堂跡にてお釈迦さまを供養。
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「三ノ峰に水飲王子あり。是も山上の六所の王子のひとつなり。」(「白山紀行)

三ノ峰避難小屋を経て9時半に三ノ峰登頂。御前峰(本地・十一面観音菩薩)、別山(本地・聖観音菩薩)、大汝峰(本地・阿弥陀如来)の白山三所権現を遥拝しました。
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 花はすでに少なく、足元に笹の茂った山道。青い空、谷の響き。
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別山平に出て御手洗池より別山遥拝、加宝王子(本地・虚空蔵菩薩)を拝んで別山へ。
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11時前に別山登頂。
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別山社にて本地・聖観音菩薩を供養し、北にこれから登ってゆく御前峰と大汝峰を遥拝。
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南には歩いてきた美濃禅定道と、鳩居峯の山々。
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北東には白水湖と奥三方岳・三方崩山、彼方に頭の白い穂高・槍・立山。
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御舎利山にて舎利礼文をお唱えし、大屏風へと縦走。
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山道が尾根の東から西に移った辺り、少し下ると池があります。
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湯谷の紅葉。
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正午に天池(あまいけ)着。
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「此池水清し。旱魃にも滅せずといへり。あたりに室の跡あり。天池より別山の社迄壱里なり。」(「白山紀行」)

油坂ノ頭より御前峰を遥拝し、赤谷(畜生谷)へと降下。
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尾根は北東へと続いているのに禅定道が赤谷・南竜ヶ馬場へと下っているのは、水を補給する為でもあり身を清める為でもあったでしょう。
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馬頭観音さまを拝んで洗面し喉を潤しました。
 13時に南竜ヶ馬場着、トンビ岩へと登って見下ろすと、南竜ヶ馬場の西から迫る雲。
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上空も薄雲に覆われてきました。
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14時に室堂平に出、山頂へ。
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高天ヶ原にて天照大御神を拝み、南に天照大御神の御子・天忍穂耳尊(アメノオシホミミノミコト)を祀る別山を拝んで、前日(10月22日)に即位を宣明された天皇陛下まで連綿と続くわが国の皇室の伝統に思いを致しました。
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14時45分、白山頂・御前峰登頂。
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白山妙理大権現(本地・十一面観音菩薩、垂迹・伊弉諾尊(イザナギノミコト) 伊弉冊尊(イザナミノミコト))を拝み、転法輪の窟へ。十一世紀前半の権大納言・藤原能信作と伝わる「白山大鏡」に、泰澄大師が養老元年(717)に白山三所権現を開き麓に三道を開いた後、三所の峰麓の間に三十七所の「神仙洞之秘所」を開いたことが記されています。「白山紀行」にも

「大きなる霊窟あり。転法輪といふ。大師参篭の秘密にて窟中に橋ある水あり。深奥は別の一世界なりと云う。大師山上行法の三十七か所の秘所のひとつなり。」

とあり、石徹白に伝わる「白山名所案内」(安永6年(1777))にも

「朝日之岩屋 大御前の東山六分転法輪とも号す、廿七ヶ所(卅七ヶ所?)之秘所之一つ、蓬莱宮是なり」

とあります。九州の霊峰・彦山(英彦山)には四十九の宝窟がありましたが、白山にも三十七の秘窟があったようです。
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(英彦山・大南窟、2019.7)
「四十九窟」は弥勒菩薩がおられる兜率天の四十九院に倣ったもの。「三十七窟」は金剛界曼荼羅の五智如来を含む三十七尊、あるいはお釈迦さまが説かれた「八正道」などの三十七道品に倣ったものでしょう。しかし、「白山大鏡」に記されている三十七の神仙洞は彦山のように「三所権現王子眷属一万十万金剛童子」が祀られているだけではないようです。

「第一仙洞、云長生神宮光明菩薩仙洞、崑崙山有玄圃・・・」
「第二、高聳在洞、云不老仙宮、化地蔵菩薩、救六道衆生、神農薬草生、喰施不老之齢得天命・・・」
「第三、云死神仙宮洞、虚空蔵菩薩化現、長命耳呂草生、喰得仙魂魄命、去死業・・・」
「第五、紫微宮仙洞、七星常住神仙洞也・・・」

等、これらの秘窟には神仏習合どころか、不老長生の道教の神仙の世界が垣間見えるのです。
(続く)

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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝