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汾陽寺山~紅葉ヶ滝~編笠嶽放浪

 10月3日、手ブラで静かな藪山へ(地形図と磁石は持ってます)。何かに行き詰まったときなどにふと行きたくなる山域で、毎年何度か徘徊します。寺尾ヶ原から入峰すると、すぐにムカデがお出迎え。
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ムカデは「荘子」斉物論篇に

「蝍且(しょくしょ、ムカデ)は帯(へび)を甘(うま)しとし」

とあり、「抱朴子」登渉には

「南人は山に入るに、皆竹管を以て活きたる呉蚣(ムカデ)を盛る。呉蚣は、蛇有るの地を知れば、便ち管中に動き作(おこ)るべし。此の如きときは、則ち詳に草中を視れば、必ず蛇を見るなり。」

「南人は、此に因りて呉蚣を末(こな)として、蛇の瘡を治し、皆登時(ただち)に愈ゆるなり。」

とあるように、古来、蛇の天敵と考えられていたようです。 「神農本草経」にも、呉蚣(ムカデ)は生薬として

「鬼注(肺結核)、蟲毒、噉諸蛇、虫魚毒を治す。」

とあります。「古事記」では、根の堅州国で須佐之男命の試煉を受けた大国主神が、須佐之男命の頭髪の中にウジャウジャいた呉公(ムカデ)を取らされています。八俣の大蛇を退治した須佐之男命ならではの雄姿(?)。私も、ハゲ頭に生きた呉公のヅラでもかぶってみたいものです。
 さらに登ってゆくと、ジョロウグモが大きな巣を張っています。
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私は人ゴミだらけの名山よりも、静かな無名の藪山の方が好きなのですが、そういう山では当然、クモの巣まるけになります。クモの巣の粘着球は、天然のボンド。クモの親戚のマダニもだ液のセメント様物質で口器を皮膚に固着させますが、彼らのヤバい能力には感心させられます。三十分ほどで汾陽寺山中腹の鉄塔に着き、西に編笠嶽を遥拝。
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晴れていれば北に白山が拝めますが、今日は降ったり止んだり。でも、藪山では樹が雨を防いでくれます。谷へと下ってゆき、紅葉ヶ滝へ。
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滝の側にはいくつかほら穴があります。
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寂かな谷に響く、滝の清音。

「谷神は死せず、是れを玄牝(げんびん)と謂う。玄牝の門、是れを天地の根と謂う。」(「老子」第六章)

昨年(2018年)11月にこのほら穴の中で坐したとき、黄泉の大神であり白山妙理大権現でもある日本の母・伊邪那美命を感じましたが、谷神は日本のみならず万物の母。
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「上善は水の若し。水は善く万物を利して争わず、衆人の悪(にく)む所に処る、故に道に幾(ちか)し。」(「老子」第八章)

「天下に水より柔弱なるは莫し。而も堅強を攻むる者、之に能く勝る莫きは、其の以て之を易(か)うる無きを以てなり。」(「老子」第七十八章)

流れ落つ滝の、爽やかなエネルギー。滝壺には水だけでなく、風に舞い落ちた木の葉があるいは留まり、あるいは谷を下ってゆきます。
 滝の周辺の山道に、ひっそりと立つ石碑。
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「紅葉瀧神社」と記されています。今は何もない藪中ですが、昔は祠もあったのでしょう。傍らに横たわる石碑には、「三光行者座石」。
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もっと上から落ちてきたのかもしれません。鉄塔巡視路ではなく、この石碑の上の尾根を登ってみました。岩が多く、窟もあります。
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巨岩の間を縫って、上へ。赤くもろい岩石。
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400m峰ピークに出、鉄塔より南東に汾陽寺山を遥拝しました。
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降ったり止んだりの中、鉄塔巡視路を編笠嶽へと行道。
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谷に下って、谷筋を遡上。
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谷の本流から支流を上へ。
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アップダウンに、けっこう疲れます。入峰から三時間、編笠嶽南の鉄塔より東に汾陽寺山、その奥に美濃の天王山を遥拝。
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北側には、編笠嶽の背後に高賀山。
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鉄塔から薄藪を編笠嶽へと縦走してゆきました。
 編笠嶽といっても、山容はさほど編笠らしさを感じさせません。しかし山頂部はゆるやかな登りで、実際に登った者であれば編笠の名にもうなずけます。鉄塔から十分ほどで 登頂。
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藪中に坐していると、南東から爽やかな風が吹いてきました。

「天地の間は、其れ猶お槖籥(ふいご)のごとき乎。虚にして屈(つ)きず、動きて愈いよ出ず。」(「老子」第五章)

大気は空っぽのようで尽きることなく、動けば風となって暑さを和らげてくれることもあれば、フェーン現象を起こしたり、暴風となって樹や鉄塔を倒したりもします。空っぽだからこそ、そこから生み出される無尽のエネルギー。すぐ下で雌鹿がメタリックに鳴くと、すぐにメタリックな山びこが返ってきました。
 復路は谷越え山越えの鉄塔巡視路ではなく、尾根を縦走。南東へと進んだ後、鞍部から北東へ汾陽寺山の長~い尾根を登ってゆきました。
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西からの雨風。風通しのよい処は倒木も多いです。
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谷の水は岩をも流し、風は大木をも倒します。

「柔弱は剛強に勝つ。」(「老子」第三十六章) 

足元には倒木、顔にはクモの巣の山道。編笠嶽から一時間強で汾陽寺山頂に着き、鉄塔に下って西に編笠嶽を拝み、白山の方に向かって投地礼。
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太陽と大地、流水と風のエネルギーに感謝し、寺尾ヶ原へと下ってゆきました。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝