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マダニフィストの手記

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 俺の名はマダニフィスト。ある男を宿主にしている魔ダニだ。奴ときたら、好んで俺らのいる藪山に登りに来るので、いい鴨だ。奴は、昔の白山の山伏が修行していたという藪山を毎月徘徊しており、特に今の時期は俺らの大事なお客さんだ。
 奴との最初の出会いは、奴のブログにも載ってるが、2012年10月だった。俺らの名が日本の人間界を騒がすことになる直前のことだ。奴が奥越前の荒島岳に仏御前の滝から藪を漕いで登ったとき、奴の右胸の脇辺りに喰い込んでやったのさ。帰宅後、モゾモゾ動く脚のついたトゲにブッたまげた奴は必死に俺を引き抜こうとしたが、そうは問屋が卸さない。奴はピンセットでほじくって俺を取ろうとし、結局俺の頭だけ奴の肉の中に残ったのさ。翌日、俺の頭は外科医に切開されて取り出されたよ。
 三年前(2016年)の6月は、奴に三回喰らいついたもんだ。6月1日に奥美濃・郡上の藪山で奴の尻にかじりついたが、帰宅後に剥がされた。
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6月12日、美濃の鶴形山~高山で奴の右足に喰いついたが、二日後にむしり取られた。
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尻にも喰いついたが、不覚にも落とされてしまった。
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昨年(2018年)6月9日は、奴が白山天嶺からハイマツ漕いで転法輪ノ窟や御厨池とかいう危険な処にお参りに行ったとき、右腕に頭から喰い込んでやった。
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しめた!と思ったのだが、奴は俺を引き抜くのを諦めて御前峰から別山へ、さらにチブリ尾根を汗ダクで無念無心に歩き続けたもんだ。俺は降参して、奴から抜け落ちてしまったよ。どうやら、奴は俺らの弱点に気付いたらしい。
 先月(2019年)5月18日のことだ。奴が毎月喰わず座らずお参りしている鳩居峯とかいう山伏の行場跡で奴に取り付き、左腰の後ろと左ももに喰いついてやった。
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しっかり喰らいつけば、手で引き抜かれるような俺らではないぜ。だが、奴は昨年の経験からある作戦に出た。帰宅後、熱めのシャワーを俺らにブッかけながら引っこ抜いたのだ!あっけなく生け捕りにされた俺ら二匹。排水口に流されてサヨーナラだったよ・・・。今日(6月13日)も奴が鳩居峯にやってきたので、作務衣の隙間から三匹で下着シャツに取り付いた(巻頭写真)。だが、カラッとして風もあり、汗をあまりかかなかったらしい、十時間半歩いた奴は下着シャツを着替えずに帰宅。奴に喰いつくチャンスはなかった。因みに、奴が何故鳩居峯入峯時は朝から何も食べないか、分かるかい?野糞を垂れない為さ。喰えば出るのは自然の理だからね。
 俺らが時々媒介するとされてるSFTSウイルスが最初に発見された国では、古来、

「彼を知り己を知れば百戦して危うからず」

と云われてる。奴は、実体験を通して俺らのことを理解し始めたようだ。俺らはけっしてモンスターではない。俺らにも弱点はあるし、死を免れぬちっぽけではかない生きもんだ。最近の人間どもは、体験を伴わないバーチャルな似非知識を頭に詰め込んで利口ぶってる輩が多い。ウィキペディアとかいう、どこの誰が書いたかも分からず数年後には書き替えられるような切り貼り文など、引用したって無意味だぜ。試しに俺のことをウィキペディアで見てみな。そこに本当の俺は、俺との血の通った実体験は、一言も書かれてないぜ。

「本当の俺が見えるかい、ドクター?」

 宿主の野人・順昭さんよ、これからもせいぜい仲良く付き合っていこうぜ。俺たちは皆、白山権現さまの子で兄弟姉妹なんだろ。一寸の虫にも五分の魂っていうぜ。かつて、良寛和尚はこう歌った。

蚤虱(のみしらみ)音になく秋の虫ならばわがふところは武蔵野の原
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Haxanjunrei

松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝