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伊吹山北尾根縦走~白山遥拝








 12日朝7時半、国見岳スキー場を発ち、伊吹山へ。東本願寺開基・教如上人が関ヶ原合戦の頃、西軍に追われて匿われていたという鉈ヶ岩屋には、氷柱が下がっていました。先週、下見がてら虎子山に登ったときは、山頂まで雪はありませんでした。今日は、鉈ヶ岩屋から上は新雪の上に獣の足跡。国見岳を過ぎると雪は疎らになり、ぬかるんだ所もありました。西から雲に覆われ、展望はなし。大禿山、御座峰を経て、10時半に静馬ヶ原を渡って伊吹山側へ。静馬ヶ原からは、うっすらと琵琶湖が見えましたが、その琵琶湖の方から冷たい風が吹きつけ、伊吹山側に着くと一気に寒くなりました。ドライブウェイは凍結した上に新雪が薄く降り積もり、積雪と濃霧の、只々真っ白な世界。黒龍神社に参拝し、西遊歩道を登って12時前に山頂に着きました。
 覚心堂(写真3)と弥勒堂に参拝し、西遊歩道に少し戻って行道岩へ。晴れていれば、上から岩を見下ろしながら尾根を藪漕ぎできますが、この霧では何も見えません。二つの尾根の間を下り、どちらだろうかと少し迷った末、右手に行道岩の影が現れました(写真4)。
 三修上人や円空上人が修行されたというこの岩場からは、晴れていれば琵琶湖の向こうに比叡山、比良山が見えます。が、今日は琵琶湖どころか、六合目の小屋が時々かすかに見えるのみ。石の上に坐っていると、姿は見えませんが、滋賀県側の登山道を歩く人達の声が聞こえます。誰にも気づかれることなく端坐していると、ふと、法華経に、お釈迦さまが入滅されたのは方便であって、実は、はるか昔から常に法を説いているのだ、と説かれていることが思い出されました。お釈迦さまの本地である久遠実成の仏さまも、私たちに姿は見えなくとも、実は私たちの近くにおられるのかもしれません。観音さまも、私たちには見えなくとも、実は私たちの声を聞いておられるのかもしれません。いや、もっと近く、私たちの心の中に、おられるのかもしれません。
 1時間ほどして立ち、登山道側に斜めに下りてゆくと、数分で七合目へ出ました。山頂は手が痛いほど寒かったのですが、この辺りは道に雪すらありません。登山道を上って30分ほどで再び山頂へ。誰もいなくなった山頂を散策した後、覚心堂で勤行をし、寝袋に包まりました。
 夜中は、風と雪がお堂に吹きつけていました。霧で外は何も見えず。
 翌朝5時起床、勤行して6時頃に扉を開けると、目の前に湖国の夜景が飛び込んできました。長浜の夜景を前景に、琵琶湖をぐるりと囲む町の灯。片付けしてお堂を出ると、新雪の積もった夜明け前の山頂を、十七夜の月が見下ろしていました(写真1)。北東には、御嶽山のシルエット(写真5)。白山や比良比叡は、まだ雲の中。
 やがて日が昇り(写真6)、国見岳の背後に、雪を被った能郷白山が現れました。そして、その右、小津三山の彼方で、白山が雲のヴェールを脱ぎ始めました。別山が見え隠れしています。東遊歩道を歩いてゆくうちに白山主峰が時々姿を現わし、白山三山を遥拝することができました(写真2)。この東遊歩道から伊吹山北尾根、伊吹山地、両白山地を経て、白山へと連なる峰々。伊吹山北尾根の復路は、まさしく白山への道です。
 ドライブウェイは所々凍結しており、滑らぬよう縁石や草の上を歩いて下りました。9時半、静馬ヶ原を渡ると一挙に暑くなり、ジャンパーとセーターを脱ぎました。御座峰からは行く手に白山、能郷白山、小津権現山と、白山権現を祀る山々を遥拝、振り向けば伊吹山。御座峰から大禿山への尾根の展望は素晴らしく、右側に能郷白山、白山、北アルプス、乗鞍、御嶽山、中央アルプス、恵那山。左側は琵琶湖、竹生島、比良山、そして伊吹山。気温が高くなってきた為か、白山も伊吹山も次第に雲に隠れてきました。
 12時すぎに鉈ヶ岩屋に着くと、眺望の良さに驚きました。御嶽山、乗鞍岳が見え、小津三山も見えています。付近からは岐阜市の百々ヶ峰や金華山も見えます。山中の小さな窟での生活は大変だったでしょうが、この眺望には教如上人も心を慰められたのではないでしょうか。念仏をお称えし、上人の流れを汲む真宗大谷派の寺院である、近江高月の向源寺(織田浅井の戦火から、泰澄大師作と伝わる十一面観音像を守った)、加賀白峰の林西寺(明治の廃仏棄釈から白山の本地仏を守った)の、白山との深い縁に想いを馳せました。
 登る毎に、いつも期待通りの眺望が得られるような山もありますが、伊吹山は、私には、登る毎に意想外な体験、新たな体験が得られることの多い山の一つです。名山、霊山と呼ばれる山とは、そういった山なのでしょう。

南無伊吹山満山三寳
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝