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初河谷遡上~カウハセ宿~中州宿巡拝1

 白山の三馬場(越前・加賀・美濃)の禅定道は、毎年残雪期に登拝しておりますが、私の夏の楽しみは、白山麓の秘境、飛騨・尾上郷の藪と沢を徘徊することです。今年は7月の異常な暑さや野暮用もあり、まだ尾上郷入りできていませんでした。先週(2018年10月8日)、石徹白の八反滝(はったんだき)から初河山(はっこやま)に登り、初河谷を渡って芦倉山に登ったのですが(「八反滝~初河山~芦倉山~中州宿巡拝」の記事ご覧ください)、今回は初河谷を遡って国境の尾根を越え、尾上郷入りすることにしました。
 10月16日朝5時45分、石徹白の中居神社に参拝。


先週と同じく、大宮殿の向かって右から浄安杉に登って古の白山美濃禅定道を行道。浄安杉の四本の幹は、お釈迦さまが涅槃に入られた時に四方にあったという沙羅双樹を思わせます。


6時半に美女下社跡参拝。


美女下社の祭神は石長比賣(イワナガヒメ)。木花之佐久夜毘賣(コノハナノサクヤビメ)の姉です。美人であった妹に対し、姉の石長比賣の外見は「甚凶醜」(「古事記」)であったため、高天原から葦原中国(あしはらのなかつくに)、即ち日本に降臨された邇邇芸命(ニニギノミコト)は、木花之佐久夜毘賣のみを留めて婚し、石長比賣を返してしまいます。その結果、天つ神の子孫の寿命は石の如き長さを失った、とのこと(「古事記」)。この話は、達磨大師の「少室六門集」の「無所求行」の教えにある、「功徳黒暗、常相随逐」を思わせます。江戸時代前期の禅僧・鈴木正三和尚の言行録「驢鞍橋」には、「功徳天」と「黒暗女」が姉妹であり、片方だけを留めることはできないこと、「善と云は悪に対して善也。善計り善と云名なし。有と云は無に対して有也。有ばかり有と云ふ事なし。苦楽も是の如し」と、善悪・美醜・苦楽・好き嫌いといった相対的モノサシに執われ一方のみを貪り求めることの愚が説かれています。
 先週同様、中居神社から一時間で初河谷出合(初河谷が石徹白川に合流する地点)に降下。


初河谷沿いに上流へ。八反滝までの六回の徒渉中、六根(眼耳鼻舌身意)清浄を念じました。三十分弱で八反滝参拝。


「越前国名蹟考」に「鳩居三番瀧」として描かれている滝です。般若心経をお唱えし、右岸の崖の藪をよじ登ってゆくと、朝日が差してきました。


先週は此処から上へ、初河山へと登ってゆきましたが、今日は山腹の藪をトラバースし、滝の上へ。八反滝から三十分ほどかかって、滝上に出ました。


滝の上にもう一段の短い滝があるのは、下から見上げても分かりますが、さらに上にもう一段の滝があります。


八反滝(鳩居三番瀧)は、三段になっているのでした。上段が「一番瀧」、中段の短い滝が「二番瀧」、下段の長い滝が「三番瀧」でしょうか。
 八反滝からさらに初河谷を遡上。上流にまだまだ滝が続いています。登ってゆくと、南方に石徹白の集落や毘沙門岳・西山、さらに平家岳が見えてきました。


が・・・八反滝の上から三十分ほど登ると、水が涸れてしまいました。


初河谷は上部まで滝があり、こんな処で水が尽きるはずはありません。本流ではなく、支流を登っていることに気づきました。このまま沢を登れば、初河山に登ってしまいます。東側へ厳しい藪中をトラバースしつつ降下。9時、ようやく初河谷本流に着水しました。


気持ちのよい沢をジャブジャブと遡上すること二十分、切り立った馬蹄形の節理の崖の奥に、滝が現われました。


滝前で勤行を修し、清浄なる滝水で身心を清めました。


滝周辺は取りつく島もない絶壁、少し下って右岸の崖に取りつき、さらに上流を遡上してゆきました。
 しばらくなだらかな谷間が続いた後、10時すぎ、初河山をバックに次の滝が現われました。


この滝は、見覚えがあります。五年前(2013年7月)に八反滝から初河山に登り、初河谷に下って山腹の藪をトラバースしつつ八反滝まで下る途中、下に見えた滝です。「鳩居三番瀧」が八反滝の三段の滝ではなく、初河谷に連なる滝を示しているのだとしたら、この滝が「一番瀧」、先ほどの馬蹄形の節理崖の滝が「二番瀧」、八反滝が「三番瀧」なのかもしれません。


右岸の藪をよじ登り、さらに上流へと遡ってゆきました。
 滝から四十分ほどで、次の滝参拝。


背後に初河山が見上げられます。左岸にガレ谷があり、登ってゆくと、滝の上方に初河山頂と、先週(五年前も)下った巨岩が見上げられました!


滝の上に出てさらに初河谷遡上、11時、先週(および五年前)初河山から初河谷に降りた地点に着きました。


五年前は此処から藪の山腹を八反滝へと下り、先週は谷を渡って芦倉山に登りましたが、今日は初河谷をさらに上流へ。すぐ上に見えていた滝は細い滝かと思っていましたが、一部が見えていただけで、横に広い滝でした。


滝の右岸側(向かって左)にも細い流れがあり、途中に池のようになっている処があります。其処から岩をよじ登ると、滝の上まで手は届くものの、上に出るには滝の流れの中を越えねばなりません。


滝上を覗いてみると、手足の取っ掛かりのないツルツルのナメ。水圧に敗けて滑落すれば、お陀仏です。一旦下り、右岸の藪を登って滝上に出ました。対岸には、先週登った芦倉山の尾根。


此処から上流はしばらく快適なナメが続き、滑らぬよう注意しつつ遡上。


小さめの滝もいくつかあります。


やがて谷は少し険しくなり、右岸の山腹を藪漕ぎ。


足元もよく見えぬ藪中をトラバースしていると、斜面が谷へ切れ落ちている処があり、藪を踏み抜いて落ちそうになりました。すぐ下の樹の枝に股が支えられ、助かりました。(続く)
 
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝