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天吉寺山~夜叉ヶ妹池登拝


 観音の里とも呼ばれる近江の湖北地方は、己高山の観音寺や鶏足寺、高月の渡岸寺をはじめ、小谷山の常勝寺(小谷寺)、伊吹山の上平寺など、白山を開山された泰澄大師の創建と伝わる寺院が数多くあります。湖北の山々は伊吹山地と両白山地を経て白山まで尾根が繋がっており、湖北地方は、白山から延々と続く山並が琵琶湖岸の平地に降りた所、とも言えるのではないでしょうか。
 両白山地の西南端にある夜叉ヶ池の「妹」池が、湖北の山中にあります。9月25日、登拝してきました。
 天吉寺山登山口の大吉寺を5時45分出発。大吉寺は比叡山の安然上人の草創、本尊は聖観音菩薩です。隣接する上乃森神社には日吉山王大権現が祀られています。長浜城で開催中の「湖北の観音」展に、大吉寺の山伏が使っていたという大きな入峯斧が展示されています。
 お堂とお社に参拝後、谷沿いの山道に入りました。鹿の鳴き声を聞きながら東へと高度を上げてゆくと、背後の樹間に竹生島や長浜市街が見えてきました。山中にある旧大吉寺の遺跡に参拝して7時前に稜線に出ると、伊吹山北尾根上に昇った朝日に照らされました。此処より尾根は北へ、鳥越峠まで続いています。樹間に伊吹山や金糞岳を見つつ快適な尾根道を歩き、7時半前に天吉寺山到着。木が多く展望はありません。
 此処から先は藪尾根です。眼鏡ストラップを着け、北へと向かいました。よく見ると道がありますが、木が繁って藪化しています。藪中にトリカブトが咲き、草上や樹間からは伊吹山・御座峰や能郷白山・磯倉が拝めました。


尾根のすぐ西側の藪化しつつある山道を使って順調に縦走。正面に金糞岳と鳥越峠も見えてきました。


 9時、小さな池に出ました。水は濁っていますが、獣の足跡がたくさんあり、大切な水場であることが分かります。しかし、この池が夜叉ヶ妹池とは思えません。だんだん繁くなってきた藪尾根を進んでゆくと、9時20分、三角点に着きました。カナ山です。が、夜叉ヶ妹池はカナ山より手前にあるはず。藪が思った程でもなかった為か、「此処は本当にカナ山だろうか?」と思い、更に先まで行ってみることにしました。
 藪はけっこう繁くなり、シャツが数ヵ所破けながら一時間以上縦走。しかし池はありませんでした。10時半すぎ、大きな木に火の用心の錆びた看板があるピーク(1057mピーク辺りか?)で一休みし、引き返すことにしました。木が立ち並んで展望はゼロですが、登るにうってつけの木があり、樹上に登ると東にブンゲンが目の前に、そして北東には白山頂がうっすらと遥拝できました。写真にははっきりと写りませんでしたが、樹上から双眼鏡で見ると、大汝峰が台形に見え、その右に、御宝庫と山頂の間が白く見える御前峰。白山の手前に見える山は天狗山でしょうか。


観音経をお唱えし、11時前に下山しました。
 12分程で一つ南西のピークに着くと、樹間に竹生島が見え、カナ山の北に南北に連なる山々も見えました。


12時15分、カナ山着。行きとは違って戻りはさすがに疲れ、水分も底を尽きました。しかし、勝負はこれからです。
 登りは尾根の少し西を進んだ為、池を見逃した可能性がありました。そこで下りは、たとえ藪が繁くとも尾根を外さず下ることにしました。途中、尾根から外れた獣道があるのに気づいて辿ってみると、12時半、藪越しに池が現れました!夜叉ヶ妹池です(冒頭写真)。思っていたより広く、平泉寺の御手洗池以上はあるでしょうか。水は澄んではいませんが、秘境の湿地といった風情。中央には草が生え、池畔には獣の足跡。大小たくさんのトンボが飛び、周囲の樹上では鳥の声。急峻な池の岸は藪に覆われ、さながら生きものたちの楽園です。池を見つつ、倒木上で坐禅しました。
 13時10分下山。池の東の藪尾根からブンゲンを遥拝。


池の西尾根より藪は濃く、小さな池まで40分かかりました。藪漕ぎに疲れながらも、時々垣間見える伊吹山や竹生島に励まされつつ下山しました。


 15時40分、ようやく天吉寺山に戻りました。此処からは登りと違う尾根道を南西に下りました。アサギマダラを見つつ40分程で鉄塔着。小谷山の後ろに竹生島が見えました。西日に照らされた山道を鹿の声を聞きつつ下ってゆくと、南東の山上に月が昇り、西の山の端に日が隠れようとしていました。思わず、日と月に合掌。其処から5分、16時45分に上乃森神社着。山王権現と白山権現のご宝号をお唱えし、山でのお導きを感謝しました。
 帰りに、大吉寺から車で7分くらいの所にある白龍神社の「堂来清水」で喉を潤しました。この清水は、「三国峠の夜叉ヶ池を姉とし、榧谷山腹の妹池に発する」と伝えられています。まろやかなお水をいただき、白山へと連なる山々に想いを致して合掌しました。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝