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西洞谷~大洞・北山登拝


 2月20日朝7時すぎ、山県市相戸の白山神社に参拝し、柿野へと車を進めました。柿野の清瀬神社は大碓命を祀った社です。日本書紀に、熊襲征伐から戻ったばかりの日本武尊が、蝦夷征伐に双子の兄の大碓命を推薦すると、大碓命は草の中に逃げ隠れたとありますが、此の地の伝承によれば、大碓命が逃げ隠れたのは柿野西洞の奥にある戸立岩だとされています(美山町史)。
 柿野川沿いの狭い林道は、雪の上に轍はあるものの、雪で車の腹を擦ります。川に落ちぬよう慎重に運転し、北山の反射板巡視路入口に駐車。20日ぶりに登山靴を履き、8時前に出発しました。北山へは向かわずに林道を柿野川上流・西洞谷へと北上。轍はすぐに消え、登山靴が埋まるくらいの乾いた雪上を歩いてゆきました。林道から西洞谷を奥につめ、歩き始めてから50分、戸立岩が現れました(冒頭写真)。両岸に聳え立つ絶壁の狭い隙間を流れる、清らかな水。地元の言い伝えによると、日本武尊は兄を説得しようと柿野まで来たものの、大碓命は肯わなかったとのことです。日本書紀にある通り、東征にも日本武尊が行くこととなり、大碓命は景行天皇の80人の御子の第一子であるにもかかわらず、太子となることなく美濃に封ぜられたのでした。
 臆病者と取られがちな大碓命ですが、出征を拒んで斯様な山の中に籠っていたとすれば、なかなかスケールのデカい人のようにも思われます。時には引き籠って自分を見つめ直すことも大切です。清瀬明神と白山権現のご宝号をお唱えして戸立岩をくぐると、向こうにカモシカがいました。


大碓命の使いでありましょう。
 カモシカの後を追うと鉄塔巡視路の標識がありました。右へ進んで雪の斜面を急登、9時すぎに尾根に付くと、行く手から朝日が射してきました。


鉄塔からは南に北山肩の鉄塔や金華山が望め、北には大洞辺りが見上げられました。824m地点を過ぎ、右手の樹間に北山を見つつ雪の尾根をさらに上へ。積雪は林道と同じくらい、乾いているので、カンジキは敢えてリュックから出しませんでした。
 10時、北山からの尾根と合流。カモシカの足跡を辿って10分程で美山・板取境の一千m級の稜線に出ました。左へ縦走してゆくと、目指す大洞が見えてきました。市境の稜線から北へ登り、処々で膝上まで雪にはまりながら、10時40分大洞登頂。三角点は雪の下。樹間に高賀山が見えるものの、樹が茂って展望は今一つ、そこで大洞の一つ北のピークへと進みました。此処からは東に高賀三山の姿がきれいに拝めました。


瓢ヶ岳を中央に、左は高賀山と手前のタカネ、右には今淵ヶ岳。般若心経と高賀山本地・虚空蔵菩薩のご真言をお唱えしました。北には樹間に滝波山が拝めました。うっすらと雪雲を被っています。その左には美濃平家岳もわずかに見え、右には蕪山、ゴンニャク。北西には三尾山が一段高く聳え立っていました。


白山は雪雲の彼方。白山の方に面して観音経をお唱えしました。
 11時40分に下山、大洞へ戻ると、雪に沈んだ足の下から三角点の木杭が現れました。


市境稜線に戻り、南に北山と、その先に岐阜市街を見渡しました。北側の谷上からは、大洞の肩越しに滝波山を遥拝。


12時半前に稜線から北山への尾根に南下し、30分程で北山の一つ北のピークへ。来た道を振り返りました。鞍部まで下った後、北山への最後の登りは立ち並ぶ岩が雪上に頭を出し、処々、腰まで雪にはまってしまいます。


 13時半、北山登頂。北の樹間に三尾山と大洞を遥拝しました。寒く、雪も降ってきたので15分程して下山。岩の間を縫って反射板に下りました。下界も雪のようです。
 山頂西の鉄塔から巡視路を下って、車を停めた北山の西の谷に下るつもりでしたが、巡視路は雪の下、急斜面では路が分かりません。分かりやすい路を辿ってゆくと、一つ南の鉄塔に下ってしまいました。此処からだと、駐車した谷より一つ南の谷に下ることになります。15時前、雪の舞う中を谷へと下りました。谷沿いの踏み跡を下ってゆくと、離村された方の先祖代々の「誕生地」の碑や石仏が祀ってありました。念仏をお唱えし、此の地に棲んでいた方々に回向しました。
 15時20分に林道に出、駐車した谷口まで10分、路傍の観音さまを拝みつつ歩きました。粉雪が牡丹雪になってきました。
 帰りに柿野の清瀬神社にお参りして大碓命と白山権現に感謝した後、同じく柿野にある垣野神社へ。こちらは小碓命、即ち日本武尊を祀った社で、元々柿野では清瀬神社は内宮柿野大明神、垣野神社は外宮柿野大明神と称し、兄弟を共に祀ってきたそうです。内宮と外宮とは柿野の内と外の意でありましょうが、内向的な大碓命と外向的な日本武尊の性格をも、表しているのかもしれません。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝