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白山初冠雪

 11月1日朝、夢から覚めて窓の外を見ると、北に聳える白山の頂が真っ白に見えました。いても立ってもいられず、裏山に駈け上がると、樹間に真っ白に冠雪した白山三所権現(御前峰と別山の中央奥に大汝峰)が、諸山の女王の如く鎮座していました!


先週(10月24日)登拝した時はほとんど雪のなかった白山。三年続いて遅めの冠雪、一昨年(2016年)に続いて11月までずれ込んだ初冠雪でしたが、今年は一気に三所権現そろっての純白のお姿。白山三所権現(白山妙理大権現・本地十一面観音菩薩、別山大行事権現・本地聖観音菩薩、白山越南知権現・本地阿弥陀如来)を遥拝しつつ行法を修し、観音さまの過去身である正法明如来、観音さま、および阿弥陀さまを礼拝供養しました。
 平安時代、藤原能信(長徳元年(995)~康平8年(1065))の作と伝わる「白山大鏡」第二神代巻初一に、養老元年(717)6月11日、白山の「深沙太山之池」にて泰澄和尚の前に正法明如来が半身を現わし、十一面観音菩薩と九頭龍の形を現わしたことが記されています。中国の天台僧・四明尊者(960~1028)の「千手眼大悲心呪行法」の中には
「一心奉請。南無過去無量劫正法明世尊」
「南無過去正法明如来。現前観世音菩薩。」
とあり、道元禅師の「正法眼蔵」観音にも
「大悲菩薩といふは、観世音菩薩なり、観自在ともいふ、諸仏の父母とも参学す、諸仏よりも未得道なりと学することなかれ、過去正法明如来なり。」
とあります。白山三所権現の中尊(白山妙理大権現)の本地が十一面観音菩薩であり、越南知権現の本地・阿弥陀如来が脇に侍していることは、観音さまが過去正法明如来であると分かれば、おかしなことではありません。そして、阿弥陀さまは観音さまの本師でもあります(「千手千眼観世音菩薩広大円満無礙大悲心陀羅尼経」)。
 同経(「大悲心陀羅尼経」)によれば、観音さまが過去無量億劫に千光王静住如来の説かれた大悲心陀羅尼を聞いて、初地(菩薩の歴劫修行の五十二の行位(十信・十住・十行・十廻向・十地・等覚・妙覚)中、「十地」の初地である「歓喜地」)から八地(不動地)を超え、誓願によって一身に千手千眼を具足したことが説かれています。そして、大悲心陀羅尼を誦す前に十六の誓願を発すべきことが説かれています。

南無大悲観世音 願我速知一切法
南無大悲観世音 願我早得智慧眼
南無大悲観世音 願我速度一切衆
南無大悲観世音 願我早得善方便
南無大悲観世音 願我速乗般若船
南無大悲観世音 願我早得越苦海
南無大悲観世音 願我速得戒定道
南無大悲観世音 願我早登涅槃山
南無大悲観世音 願我速会無為者
南無大悲観世音 願我早同法性身
我若向刀山 刀山自摧折
我若向火湯 火湯自消滅
我若向地獄 地獄自枯竭
我若向餓鬼 餓鬼自飽満
我若向修羅 悪心自調伏
我若向畜生 自得大智慧

四明尊者によれば、前半の十願は「四諦」(苦・集・道・滅)に基づく「四句誓願」、および止観の「十乗観法」と同じ意味です。
 「白山大鏡」に、泰澄和尚が開かれた三つの道は「正殿之南道」(越前禅定道)が「正法明如来之道」「成道転法輪之道」であり、「越南智之西道」(加賀禅定道)が「等覚菩薩道」「証菩提道」、「別山東道」(美濃禅定道)が「初地之薩タ(土偏に垂)之道」「菩薩説法之道」であると記されています。正法明如来とは観音さまの過去身であり、法輪を転ずる万徳円満の「妙覚」の位。等覚菩薩とは、成仏直前の「等覚」、観音さまの位。初地の菩薩とは、観音さまがかつて大悲心陀羅尼を聞く前の「歓喜地」の位。白山三馬場(越前・加賀・美濃)禅定道とは、観音さまの歴劫修行の道であり、煩悩・悪業とその報いに苦しむ私たちの為に、観音さま即ち白山妙理大権現即ち過去正法明如来が示された道なのでした。

南無大悲観世音 願我速得戒定道
南無大悲観世音 願我早登涅槃山

 過去世にすでに妙覚の仏と成っていながら、妙覚にも留まらずに観音さまとして現前された、正法明如来の有難さ。そして、白山に妙理大菩薩として垂迹されたことの有難さ。真っ白に輝く白山三所権現のお姿は、広大円満無礙なる、大悲心の現われに他なりません。

南無過去正法明如来。現前観世音菩薩。
南無阿弥陀仏


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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝