FC2ブログ

記事一覧

美濃禅定道中居神社~別山登拝


 13日朝4時、白山美濃馬場長瀧寺に参拝し、石徹白へ。白鳥の町中は夜桜が満開でしたが、桧峠を越すと路面は凍結し、石徹白は雪景色でした。石徹白川沿いの林道は中居神社で通行止め。5時すぎに中居神社に参拝し、白山美濃禅定道を歩き始めました。道にはうっすらと新雪が積もり、先客一名の足跡がありました。一時間程歩くと北に銚子ヶ峰が望め、積雪は登山靴が埋まるくらいになってきました。
 6時40分、大杉登山口着。分厚い雪に覆われた登山道を登って大杉に着くと、朝日が差してきました。


般若心経をお唱えし、出発。雪が深いのでカンジキを履きました。雪が固まっていればアイゼンを付けてサクサクと登ってゆけるのですが、この新雪では、そうはゆきません。おたけり坂を登って9時すぎに神鳩小屋着。アイゼンを付けた上にカンジキという和洋折衷の出で立ちで銚子ヶ峰へと登ってゆきました。


別山の山頂部にかかっていた雲が次第に薄れ、母御石の上から別山を遥拝。


東には丸山や芦倉山、南に滝波山や平家岳を遠望。
 10時15分、銚子ヶ峰にて別山を拝んでさらに禅定道を進むと、先客のスキーのトレースは笠場峠、願教寺山方面の尾根へ。此処からはまっさらな雪の上です。先客の無事を祈り、雪庇上の新雪を一歩一歩慎重に歩んでゆきました。


一ノ峰への登りから振り返ると、願教寺山・よも太郎山・日岸山と続く山並。


正午前に一ノ峰に着きました。
 左手に赤兎山・大長山・経ヶ岳を望みながら雪を踏んでゆき、二ノ峰に13時着。東にうっすらと御嶽山の姿。釈尊の誕生仏が祀られていたという水呑権現辺りでお釈迦さまのご宝号をお唱えし、三ノ峰への急斜面へ。固く凍った雪を新雪が覆い、二足歩行は危険です。足を蹴り込んで足場を確保し、ボルダリングの如く直登しました。
 14時前、三ノ峰避難小屋着。


小屋の扉は上まで雪に覆われていましたが、ストックで雪を削ると、なんとかノブに手が届き、回すとドアが開きました。野宿せずに済み、一安心。別山へと道を急ぎました。15分程で三ノ峰に登頂し、別山・御前峰・大汝峰の白山三所権現を遥拝。冷たい風で雪の表面が固まっている処はあるものの、連続しておらず、すぐに深雪が現れます。アイゼン+カンジキの両用で歩を進め、15時半、別山平着。


虚空蔵菩薩ご真言をお唱えし、雪上の鳥の足跡を追って別山への尾根を登りました。
 山頂部は凍てつく北風が吹きすさんでいました。16時15分登頂(冒頭写真)。軒下まで雪に埋まって凍りついた別山社の背景に、白山頂御前峰・大汝峰を遥拝し、観音経、般若心経、白山三所権現ご真言・ご宝号をお唱えしました。


白山頂の手前には御舎利山、左には七倉山・四塚山・釈迦岳。舎利礼文と釈尊ご宝号をお唱えして山を下りました。正面に荒島岳、その右奥に銀椀峰、左奥には能郷白山を望みつつ尾根を降下。日は西に傾き、18時、三ノ峰にて夕焼けの白山三所権現を拝みつつ、法華経如来寿量品偈を読誦。経ヶ岳・赤兎山・大長山を前景に、夕日が海に沈もうとしていました。



 日暮前に無事避難小屋へ。入口の積雪は、中から見るとかくの如し。


食事を済ませて寝袋にくるまりヘッドライトを消すと、西の窓に三日月がかかっていました。夜は強い風が小屋に吹き付けていました。東の窓は雪の下ですが、西の窓には星が散りばめられ、その下の彼方には越前や加賀の夜景。夜半には風も止みました。
 翌朝5時半に小屋を這い出て扉をしっかり閉めると、乗鞍岳の左に日が昇ってきました。


乗鞍の右には御嶽山。夜のうちに雪は前日よりは締まっていました。アイゼンのみで三ノ峰に登って白山三所権現を遥拝、仏・法・僧の三宝に帰依して雪上で投地礼をし、山を下りました。
 三ノ峰の急斜面は前日の足場をホールドにして後ろ向きに降り、二ノ峰からは前日同様、アイゼンにカンジキを履きました。一ノ峰より南の山々は雲に見え隠れしていました。7時半一ノ峰、8時半銚子ヶ峰と順調に下り、母御石の上にて坐禅。白山を開山された泰澄大師が、どうしても白山に登りたい、と此処まで登ってきた母君を神の怒りから匿う為、石を割って中にお入れになった、と伝えられています。眼下の峰々は霧に覆われ、様々の鳥の声がポツリポツリと聞こえてきます。右下には母御谷に沿って美濃禅定道の尾根が見え隠れし、左下の尾上郷側からは、途切れることのない渓の響き。30分程して坐を立ち、禅定道を下ってゆきました。
 カンジキで雪上を下って10時45分に大杉着。大杉の下、雪のトンネルから流れる熊清水にて洗面し、のどを潤しました。此処に水場があることを熊が泰澄大師に教えた、と伝えられています。熊清水の前から、まるで古仏の如くまっすぐに聳え立つ大杉を見上げて般若心経を読誦。
 よく、独りで山に籠るのは怖くはないのか、と聞かれることがありますが、私は、熊より人間の方がよほど怖いと思います。熊は人間を食べたりはしません。熊を食べているのは人間の方です。熊はすでに九州では絶滅してしまいました。人間は自分たちの為なら、他の生きもののみならず、一発で数十万の人間の命を奪うような恐ろしい兵器をも作ります。広島で14万人、長崎で7万人もの命…どうしたら、私たちは他者に恐怖を与えずに生きることができるのでしょう?
 白山の雪解け水に育まれ、大量の雪に鍛えられてきた樹齢1800年の大杉。はるか上の枝のどこかで、シジュウカラがさえずっていました。雪上には小さなカゲロウたちが飛んでいます。観音さまは無畏を施す、とお経に説かれていますが、この大杉も、生きものたちに無畏を施しているのを感じました。その姿は、白山権現のお姿そのもの、観音菩薩のお姿そのものでありました。
 林道の雪はすっかり溶けていましたが、山の斜面にはまだ大量の雪。目の前で雪と石が道に落ちてきました。林道を歩いて13時に中居神社参拝。昨日此処を発ってから戻るまで、白山美濃禅定道では全く人に会いませんでしたが、中居神社駐車場にはたくさんの登山者の車がありました。雪山トレッキングを楽しむ人と登拝を志す者とでは、目的地も自ずと異なってくるのでしょう。
 石徹白の大師堂にて般若心経を読誦、釈尊・白山妙理大権現・虚空蔵菩薩・泰澄大師に感謝し、白鳥の白山中宮長瀧寺、美濃の前宮洲原神社に参拝して、今回の美濃禅定道登拝を終えました。
関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

白山順禮写真館

Haxanjunrei

松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝