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白山加賀禅定道登拝・下


 翌8日朝2時半。風は穏やかで、小屋の外に出ると下界は雲海に覆われ、天界には無量の星々がきらめき、見上げれば天の川を流れ星がいくつも横切り、人工衛星と思しき小さな光の点が、音もなく移動していました。
 虚空とは、ただ何もない「空っぽ」なのではなく、何もない虚空には無量無数のものが示現しているのでした。色は即ち空、空は即ち色…。この壮大な星空の光景に、ふと、虚空蔵菩薩のお姿を感じました。(虚空蔵菩薩は丑寅の守り本尊、亡きわが子を守り給え…)
 4時15分に小屋を発ち、白山のご内陣へと下ってゆきました。御前峰は霧に見え隠れしていましたが、翠ヶ池へと下ってゆくと次第に空が澄み、剣ヶ峰や御前峰が姿を現しました。



アイゼンを履いて、表面の凍った翠ヶ池へ降下(冒頭写真)。凍った表面にストックで穴を開け、冷たい霊水で洗面し喉を潤しました。氷が剣ヶ峰を映していました。


坐して観音経、十一面観音菩薩ご真言、白山権現ご宝号をお唱えし、池の中央まで経行。


言語道断、心行処滅の世界…この明静なる世界を文字や写真で捉えることは、不可能です。
 内陣から御前峰へ山道と雪の斜面を登って、5時40分に御前峰登頂。


雪の斜面を下って、急峻な雪渓を一歩一歩、足場を作りながら彼岸へと渡ってゆきました。雪渓の表面は硬く、水平に横断するとアイゼンが滑りそうなので、少し上り気味に渡ってゆきました。一度、片足のアイゼンが滑りましたが、もう片方の足で持ちこたえました。両方滑ったら谷底まで遮るもののない滑り台です…十一面観音菩薩のご真言を念じつつ雪渓を無事に渡りましたが、目的地より上にたどり着いたので、急峻なハイマツのジャングルを下へ藪漕ぎ。窟の真上に出ましたが、垂直に聳え立つ岩壁を降りる術はありません。岩と雪渓の隙間には深い溝があり、ハイマツにしがみついて岩を下降し雪に飛び降り、7時、ようやく転法輪の窟に参拝しました。


窟内は分厚い雪に覆われ、周囲は雪の衝立に囲まれている為、麓からは見えません。お地蔵さまが顔だけ雪の上に出していました。


観音経と白山三所権現ご真言・ご宝号をお唱えし、雪上で投地礼しました。雪の衝立からは雲海に浮かぶ北アルプス、乗鞍岳、御嶽山を遥拝。


生死を絶した世界…説けないものを慈悲をもって敢えて説く、それが仏・菩薩の転法輪です。
 この彼岸から此岸に戻るには、再び雪渓を渡らねばなりません。


疲労の為か右足に痛みを感じましたが、滑落する恐怖を想えば痛みなど消えてしまいました。30分ほどで無事に此岸に渡り、別山を遥拝。


御前峰頂へ登ってゆくと、カヤクグリに出会いました。


御前峰から御宝庫、六地蔵と巡拝して8時45分に大汝峰に戻り、念仏をお唱えして白山禅頂の体験を感謝しました。
 大汝峰から加賀禅定道を下ってゆくと、ハイマツにホシガラスがいました。一時間ほどで四塚山、さらに一時間弱で油池着。天池から雪庇上を歩いて百四丈の滝を拝み、きつい美女坂を下ると、しかり場までの起伏のある山道を縁どるカタクリの花が、疲れを癒してくれました。
 14時前に桧新宮参拝。あとは下る一方です。ハライ谷登山口へ下ってゆく途中、麗しいアサギマダラが舞っていました。


合掌して、白山権現に感謝しました。15時半すぎ、無事に駐車地着。白山下山仏社、加宝宮、そして笥笠中宮の三社に参拝し、加賀禅定道登拝を終えました。
 白山禅頂の妙理は、言葉や映像では伝えようがありません。ただ、光を和らげて、娑婆の生活を些かでも潤せるよう、工夫実践して参りたいものです。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝