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瓢ヶ岳より白山遥拝


 2月7日早朝、美濃馬場白山前宮・洲原神社に参拝しました。


境内には昭和十年に国が指定した「天然紀念物洲原神社佛法僧蕃殖地」の碑がありますが、ブッポウソウは1990年以降確認されていません(岐阜県レッドデータブック)。翡翠色の体と瑠璃色の羽の麗しい鳥、ブッポウソウはインドから東南アジア、中国南部などに棲息し、日本を含む東アジアには夏に繁殖の為に渡ってきます。しかし日本各地で姿が見られなくなってきている絶滅危惧種です。「仏法僧」とは、仏教徒が帰依すべき三宝、即ち仏さま・仏さまの教え・仏さまの教えを実践する人々の集まりのことです。「阿弥陀経」に、極楽浄土にいる種々の霊鳥の声を聞くと、極楽浄土の衆生は皆、仏を念い、法を念い、僧を念う、と説かれていますが、ブッポウソウは長い間「ブッポウソウ」と鳴くと信じられてきました。実際に「ブッポウソウ」と鳴くのはコノハズクだったのですが、ブッポウソウはその姿と名前だけでも浄土の霊鳥を想わせます。この鳥は中国でも「三宝鳥」と呼ばれており、仏教のルーツと関わりのある鳥なのかもしれません。
「篤く三宝を敬え。三宝とは仏と法と僧なり。…人はなはだ悪しきもの鮮(すく)なし、能く教うれば之に従う。其れ三宝に帰せずんば、何を以てか枉(まが)れるを直さん。」(聖徳太子「十七条憲法」)
 洲原神社を発ち、美並の釜ヶ滝へ。滝駐車場に車を停めて7時半前に出発しました。三の滝、二の滝、一の滝と登ってゆき、一の滝の岩窟に参拝。


窟には氷柱が下がっていました。一の滝の上の林道を上へ歩いてゆくと、すぐに車両通行止になっていました。林道の背後から朝日が差し、8時すぎにゴルフ場奥の瓢ヶ岳登山口着。登山道に入り、氷柱に覆われた岩間の滝に参拝しました。


 三年前に同じルートを登った時は、登るにつれて登山道は雪の下、膝まで埋まりながら雪の尾根を登ったものでしたが、今年は雪がほとんどありません。渓は凍っていますが登山道は南岳まで露わ、南岳への登りは笹で青々としていました。


9時15分に南岳の北のピークに出ると、瓢ヶ岳の右に真っ白な白山が姿を現わしました。


別山の右に御前峰、その奥に大汝峰。観音経と白山三所権現ご真言・ご宝号をお唱えしました。
 此処からの山道は雪に覆われていましたが、カンジキが使えるほどは積もっておらず、今日は気温が低い為か固まっています。滑らぬよう気をつけながら進んで10時前に瓢ヶ岳登頂。


北に諸山の女王の如く裾を広げ、白く光り輝く白山(冒頭写真)。白山最左翼の経ヶ岳の左には、高賀山の背後に滝波山、平家岳、能郷白山など両白の峰々。


右手には御嶽山、乗鞍岳、北アルプス。


般若心経をお唱えし、凍てつく寒さの中、鼻水を垂らしながら白山と対面して坐しました。じっとしていると寒く、十一面観音菩薩のご真言を一心に念誦しました。
「慈は無量の仏、悲は無量の魔、無量の慈悲は無縁の一大慈悲なり。」(天台智者大師「摩訶止観」)
周囲の峰々がその白さの中に溶け込んでしまう、白山。そのお姿は「無縁の一大慈悲」そのものです。
 30分程坐し、奥瓢ヶ岳へ。奥瓢ヶ岳は日当たりがよく、山頂付近の登山道は地肌が見えていました。南西に伊吹山を遥拝。


南には岐阜の街、長良川、名古屋のビル。岩上に登ると、鷲ヶ岳・烏帽子岳を挟んで右側に北アルプス・乗鞍の白い山並、左に白山が拝め、しばし正身端坐しました。



11時半に下山、来た道を戻って12時45分に岩間の滝に下りました。林道を下って釜ヶ滝へ。三の滝の手前に蔵王大権現が祀ってあり、蔵王権現と白山権現のご真言・ご宝号をお唱えして感謝しました。


駐車場手前の行者の滝に参拝すると、上に岩窟が見えたのでよじ登ってみました。人が独り通れるくらいの幅ですが、天井がとても高く快適な岩窟です。窟内でしばらく坐禅しました。


 岩に付いた氷柱が、陽光を浴びて岩から「ポキリ」と落ちました。しかし下に落ちることはなく、氷柱に絡み付いていた草にぶら下がって宙吊りになりました。
「衆罪は霜露の如し 慧日能く消除す 是の故に至心に 六情根を懺悔すべし」(「観普賢経」)
冷たく、鋭く固まった氷柱、岩から落ちても宙ぶらりんになる氷柱は、まるで私の煩悩、貪り・怒り・愚かさのようであり、また苦悩、悲哀、固執の如くでありました。それでも、この氷柱から垂れている滴はやがて谷を下って長良川に交じり、いつかは大海に溶け込むことでしょう。別の氷柱が岩から落ち、乾いた明るい響きを発して砕け散りました。その透き通った響き、彼岸の響きと同時に、私の無量の煩悩の一かけらが、砕け散ったのを感じました。


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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝