FC2ブログ

記事一覧

美濃禅定道別山~南白山登拝・下


 翌12日。4時半に起床し朝座勤行をして5時半に小屋を発とうとすると、靴がカチンコチンに凍って足が入りませんでした。以前、大汝峰頂で野宿をして「シンデレラ・シューズ」になったことがありましたが、室内でこうなるとは…。靴をつっかけて小屋の外に出てみると、南白山の右、穂高と乗鞍の間から朝日が昇っていました(冒頭写真)。6時前、ようやく両踵が靴の中に収まり、出発。二ノ峰へと下って別山と南白山を遥拝しました。


二ノ峰からの下りは、朝日に照らされた経ヶ岳・赤兎山・大長山がよく見えました。



一ノ峰からは願教寺山、日岸山、薙刀山、野伏ヶ岳と続く峰々の背後に、荒島岳や能郷白山を遥拝。


7時15分に尾根の分岐に到着、美濃禅定道に別れを告げて笠場峠へと下ってゆきました。


 笠場峠付近を、熊の足跡が石徹白側から打波側へと越えていました。願教寺山頂への雪の急斜面には、上から駈け下りた獣の足跡。


雪が固く、獣の足跡をホールドによじ登ってゆきましたが、敏捷に跳ね下りたのでしょう、間隔がとても長く、足跡の間はストックの柄で雪を削って足場を作りました。8時半、願教寺山登頂。


三ノ峰の後ろに別山、左に大汝峰と御前峰、右には二ノ峰と一ノ峰の後ろに南白山を遥拝。般若心経と白山三所権現ご真言・ご宝号をお唱えしました。
 願教寺山からよも太郎山へ、ダイレクトに尾根を下るのは危険なので、登ってきた尾根を下り、雪渓を渡ってから願教寺峠への尾根に付くことにしました。この雪渓は、雪が溶けるとガレ谷です。雪渓を下ろうとすると、左手の尾根の藪からガサゴソと音が聞こえてきました。二本足で立っているようです。ついに出たな…と思いホイッスルを手にしましたが、熊ではなく人間でありました。昨日中居神社を出発して以来、初めて出会った人間です。
 雪渓を渡って尾根に乗り、願教寺山を遥拝。


願教寺峠辺りは藪が出ており、なだらかな石徹白側の雪上を歩いてゆくと、ルリビタキに出会いました。


10時前、よも太郎山登頂。願教寺山の右に南白山、左に三ノ峰と白山三所権現を拝みました。


先程、願教寺山で出会った方も登ってきました。京都から来たそうで、なんと、私のことを知っておられました。このブログをいつも読んで下さっているとのこと。天台智者大師の「摩訶止観」に、道心を発す際に捨て去るべき十の心が説かれていますが、その中に「名の四遠八方に聞えて称揚欽詠せらるることを得んと欲し、内に実徳無くして虚しく賢聖に比し、下品の十悪を発すこと…」とあります。登山家ではなく只の白山の下僕にすぎない私の如き愚者が知られているとは、お恥ずかしい限りです。これからも小さき者として、白山の順礼を続けて参りたく存じます。 
 10時半、日岸山より白山三所権現と南白山を遥拝し、歩いてきた尾根を一望。


飲料が尽き、雪を食べながら行道を続けました。11時15分、薙刀山より白山連峰遥拝。


南の野伏ヶ岳には人影が見え、人気の山のようです。


此処からは足跡(人間の)も多く、数名の方々とすれ違って12時15分に野伏ヶ岳に着きました。北には白山から続く峰々、南には小白山(こはくさん)へと続く尾根。



小白山まで縦走して石徹白へ下ろうか、とも思っておりましたが、日が高く雪庇が危なっかしいのと、野伏ヶ岳に人がわんさか居るのでやめました。これも白山権現のお導きでありましょう。その代わり、野伏ヶ岳の尾根を登山道へ曲がらず、ずっと下ってゆきました。
 13時15分、谷に下り、洗面して喉を潤しました。


アイゼンを外し、谷に沿って小山をいくつか越えて杉林を南に下ってゆくと、小白山(おじらみ)谷沿いの急峻な山腹に藪化した踏み跡が続いていました。14時前、南東に流れる小白山谷の彼方に中居神社が見えました。


藪を掻き分けトラバースを続け、右下に現われた林道に着陸。この道が一般の登山道です。やがて左下に石徹白川が現われ、小白山谷と石徹白川を渡って14時半に中居神社に参拝しました。


 白山中宮長瀧寺にお参りして長良川沿いの帰り道の夕日に、ふと、昨日三ノ峰から拝んだ夕日を想い出しました。日頃見ている夕日と山で拝む夕日とは、別のものではありませんでした。それは、一つでありました。山で感得される自然の壮大さと、己れの小ささ、はかなさ。万象を統べる妙理。それは日常の中でも、何時でも何処でも、開示されているのでありました。
関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

白山順禮写真館

Haxanjunrei

松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝