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中居神社~美女下平~八反滝

 19日、石徹白の白山中居神社に参拝し、古の美濃禅定道を登拝しました。
 朝7時半、石段を埋める厚い雪の斜面を上って本殿へ。


本殿の右側に出ると、東相殿は雪に埋もれていました。かんじきを履き、神社の後ろの尾根へ。現在、白山美濃禅定道といえば中居神社前から石徹白川沿いの林道を通り、大杉の駐車場から登るのが一般的ですが、林道のなかった古来の美濃禅定道は、白山中宮長瀧寺から前谷、床並社、(旧)桧峠を越えて石徹白に入り、中居神社本殿のすぐに下にある大宮殿の右から尾根伝いに登って、美女下平から初河谷出合へと下っていたとのことです。
 フカフカの雪を登ってゆくと、上に「浄安杉」が高く聳え立っていました。


浄安杉の後ろに続く尾根を北へ。851m小ピークの樹は、大量の雪を背負って傾いていました。


此処から北へは平坦な樹林がしばらく続きます。小雪が降ったり止んだりしていました。
 8時半頃、西の眼下に石徹白川を見下ろしつつ尾根は上りに。石徹白川の向こうには和田山。


野伏ヶ岳は雪雲の中です。やがて、再び平坦な樹林に出ました。美女下平です。


かつて、女性は此処までしか登拝を許されなかったそうです。美女下社の祭神はイワナガヒメ。日本の神話では、高天原から地上に降りたニニギノミコトに見初められたコノハナノサクヤビメは、姉のイワナガヒメと共に嫁ぎましたが、イワナガヒメは美人ではなかった為に帰されてしまいました。「美女下社」に美女ではないイワナガヒメが祀られていたのは一見、不思議ですが、姉妹の父のオオヤマツミノカミ(山の神)は、天孫が岩の如く常磐に、花の如く栄えるようにと願って姉妹を嫁がせており、姉妹を共に祀ることは理想に適っているといえます。
 美女下平から北西に下る尾根があります。


かつての美濃禅定道は、この尾根を下って山腹をトラバースし、初河谷出合へと下っていたそうです。北には1017mピークと初河山が望めました。


その奥の雪雲の中には、母御石と銚子ヶ峰。泰澄大師の母は美女下平で下山せず、此処からさらに禅定道を進んで母御石まで登ったといいます。事実だとすれば、彼女は奈良時代に「迷信」に立ち向かった、先駆的な女性だと申せましょう。
 1017mピークへと進んでゆくと、北西の眼下に石徹白川、北東には芦倉山が姿を現わしました。




9時半に1017mピーク着。北麓から渓の響きが聞こえ、北に初河山と初河谷が見渡せました。


西へ下る尾根を降下、勾配があるものの尾根は下まで続いていました。


下ってゆくと石徹白川が眼下に。


20分程で初河谷出合着、初河橋は分厚い雪に覆われていました。


 初河谷に沿って八反滝へ。堰上には三m程の雪が積もっていました。右手に1017m峰を見上げつつ進み、谷沿いの雪の斜面をトラバースしながら登ってゆくと、やがて谷は雪の下に隠れました。谷出合から歩くこと50分、前方に八反滝が現われました。


滝に向かって観音経を読誦。右手の山の端から時々日が差すと、滝の周囲の巌や樹の雪が煙の滝の如く流れ落ち、風に乗って私の方に舞ってきました。


梢には白雪が咲き、巌を氷と水が荘厳していました。
 雪は解けて谷川を流れ、やがて大海に帰します。同様に、岩も風化や浸食によって石となり、砂となり、流れ下って海底に堆積します。花ばかりでなく岩だって無常です。しかし、海から雲が沸き、新たな雪となるように、花がまた開くように、海に堆積した砂もまた、新たな岩となることでしょう。岩も花も、水も人も、銘々の流れに、銘々の道に素直であるならば、そのままで美しいに違いありません。


 11時半すぎに下山、来た道を戻って初河谷出合に下り、1017mピークへと登りました。雪の斜面をサルの群れが歩いていました。逃げ遅れた子ザルが、私の方を見ながら慌てて樹に飛びつきました。12時45分に1017mピーク着、歩いてきた初河谷を見下ろしました。その奥には初河山と芦倉山を遥拝。


西には石徹白川と推高谷、野伏ヶ岳。


北麓から時折、冷たい風雪が吹き上げてきました。
 自分のかんじきの跡を辿って順調に下り、14時に浄安杉を拝みました。


悠久の時の流れを感じさせる古木に、泰澄大師以来の白山信仰の流れを想いました。中居神社本殿に参拝し、大宮殿の右に下りました。宮川にかかる橋に、雪がこんもりと積もっていました。


 下山後、石徹白の大師堂に参拝。


奥州平泉・藤原秀衡公寄進の虚空蔵菩薩をはじめとする白山中居神社の仏像・仏具は、明治の神仏分離騒動以来、此処に祀られています。般若心経、白山権現ご真言・ご宝号、念仏をお唱えし、来月で4年目となる東日本大震災の犠牲者に回向しました。
 古の長大な白山禅定道、それは、人間の力の及ばぬ世界へと続く、遥かな道なのでした。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝