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五箇山白山宮より高坪山登拝

 12月23日朝7時、五箇山の越中白山宮に参拝。合掌造りの村上家住宅の前を通って拝殿にお参りし、拝殿の後ろの本殿へ。



この白山宮は泰澄大師が人形山の山頂に白山妙理大権現を勧請したのが始まりで、茅葺きの本殿には鰐口が掛かり、中には白山権現の本地仏・十一面観音菩薩が祀られています。般若心経と十一面観音菩薩ご真言、白山権現ご宝号、泰澄大師ご宝号をお唱えしました。拝殿の後ろに本地仏を祀った本殿のある光景は、先月参拝した越前勝山の岩屋観音と同様であり、古来の白山信仰の姿が雪深い当地に残されているのを感じます。越前平泉寺・加賀白山寺・美濃長瀧寺の白山宮本殿にも、かつては本地仏が祀られていたはず。五箇山の白山宮の十一面観音さまは、今でも三十三年ごとに開帳されているそうです。此処には生きた白山信仰が存続しています。
 白山宮の裏山に登ると、林道がありました。暖冬で白川郷も五箇山も町には雪がありません。林道を登ってゆくとやがて霧の上に出、西に高坪山、南に人形山が拝めました。



林道終点から右手山腹の踏み跡をトラバースし、8時前に鉄塔着。鉄塔からは雪の尾根道を西上、ようやく雪山らしくなってきました。


尾根を登ると雪に覆われた林道に出、西に高坪山の姿。


林道は高坪山の北側へと迂回し、登山道も北側にあるようですが、正面間近に高坪山が見えているので東尾根の雪をまっすぐ登ることにしました。
 尾根上は樹が茂って膝辺りまで雪にはまり、歩きづらいので、谷の雪と尾根の藪を交互に登ってゆきました。


かんじきは使いませんでした。やがて、明瞭な尾根より眼下に庄川や五箇山の町が見下ろせ、その後方に人形山を遥拝。


9時に藪から山頂部に出ました。


樹越しに南西に大笠山と笈ヶ岳が望め、その左奥には白山。



右から四塚山、七倉山、大汝峰、剣ヶ峰、御前峰。白山に向かって観音経を読誦しました。大笠山・笈ヶ岳の向こうの笥笠(中宮)に晩年に庵を結んだと伝わる蔵縁行者(神融法師(泰澄大師)の弟子、地蔵菩薩の名号をいつも唱えていた)は、それまでは白山と立山で修行していたそうです(「元亨釈書」)。この辺りも往来していたのでしょうか。山頂から東北東には、立山と剱岳が拝めました。


立山権現の本地仏は阿弥陀如来。念仏をお唱えし、白山・立山有縁の人々の現世安穏・後生極楽を祈りました。
 白山と立山に投地礼をし、10時に下山。北尾根の登山道の雪を下ってゆき、林道の上のヤセ尾根より大笠山から白山までの山並を一望。


雪に覆われた林道は谷の奥をグルリと周回しており、左手に白山を拝みつつ雪道を行道。



南には高坪山と人形山、眼下にはこれから下ってゆく谷。


11時前に林道分岐から南へと下ってゆくと、行く手の上の斜面を、まっ黒でズングリとした獣が小走りに逃げてゆきました。が、途中で止まってこちらの様子を伺っていました。少し離れているのでハッキリとは分かりませんが、その姿はクマさんのようでした。すかさずホイッスルをピーッ!と吹き鳴らすと、再び逃げてゆきました。この暖冬では、クマさんもまだ冬眠する気にはなれないのでしょう。
 しばらくホイッスルを吹きながら林道を降下。舗装路になると雪はめっきりと減り、高坪山の西麓を流れる皆葎(むくら)谷へと下ってゆきました。谷沿いに進んでゆくと、やがて銚子滝が見えてきました。林道は再び未舗装のダートに。沢を少し遡って正午に銚子滝着。


思っていたよりも大きな滝でした。滝前で般若心経を読誦し、石上に坐しました。高坪山の雪を源とする滝の水は、上から勢いよく流れ落ちていました。水は、アッチに行こうかコッチに行こうか、などと躊躇することなく、己れの進むべき道をまっすぐに流れ落ちていました。そのように、己れの進むべき道を只、まっすぐに流れ落ちてゆきたいものです。名利の流れではなく、妙理の流れを。


 13時に坐を立ち、滝の水と共に流れを下ってゆきました。


林道を下ってゆくと、やがて庄川沿いに出て小原橋が見えてきました。


元禄3年(1690)に小原に流刑にされた加賀の遊女・お小夜は、罪人でしたが心やさしく働き者で、村人にかわいがられていたそうです。しかし、行商人と恋に落ちて身ごもり、相手や村人に迷惑がかかるのを恐れて庄川に身を投げたそうです。念仏をお唱えしました。
 国道を渡り、13時半に庄川を渡って熊野社に参拝。


庄川の右岸を、左手に高坪山を見上げつつ歩いてゆきました。


やがて合掌造りの羽馬家住宅着。


隣の住吉社に参拝して下の流刑小屋へ。


江戸時代、加賀藩の流刑地として150余人が五箇山に送られたそうです。お小夜さんもその一人だったのでしょう。念仏をお唱えし、この地で亡くなった罪人たちに回向しました。
「一切の業障の海は 皆、妄想より生ず
若し懺悔せんと欲せば 端坐して実相を想え
衆罪は霜露の如し 慧日能く消除す
是の故に応に至心に 六情根を懺悔すべし」
(「観普賢経」)
流刑小屋の向こうに、高坪山を拝みました。


 庄川を渡って14時すぎに白山宮に参拝。帰りに、五箇山の堅豆腐を買いました。白山西麓・白峰の堅豆腐と同様、しっとりと歯ごたえ・食べごたえのある豆腐です。堅豆腐の如く堅固な道心を持し、新たな年を迎えたいものです。
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝