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白山鳩居五宿巡拝行

 白山美濃馬場・中宮長瀧寺の、古の鳩居行者が修行していた尾根伝いの十宿のうち、五宿の本地仏を毎月巡拝することを9月に発願し、毎月二回行じております。前回(12月1日)までは雪はなく、西山から毘沙門岳の足の踏み場もない物干し竿の如き笹藪を、ある時は苦しみつつ、ある時は楽しみつつ、ある時は苦もなく楽もなく行じてまいりました。12月12日、山々は雪を被っていました。リュックも登山靴も使わず、食料もケータイも持たず、座ることなく、余計なモノは一切捨てての行でありますが、今回は2016年最後であり、白山権現に写真を一枚だけ撮ることをお願いしてカメラを持参したのでした。
 作務衣に長靴、上だけカッパの出で立ちで長瀧寺より入峯。一ノ宿に水をお供えしようとすると、湯呑みの水はカチンコチンに凍っていました。お水を継ぎ足しました。越前・美濃国境尾根は雪に覆われ、無雪期は何度歩いても迷うことのあった尾根には、獣の足跡。彼らは歩くべき処を歩いており、いつも感心させられます。順調にニノ宿に参拝。三ノ宿(三角点)の山は、深い処で膝下くらいの積雪。かんじきを履くほどではありません。次回からはかんじきが必要でしょう。北に、毘沙門岳の背後に白山三所権現を遥拝して法要を修しました。別山(聖観音菩薩)と御前峰(十一面観音菩薩)の中央に、大汝峰(阿弥陀如来)。一枚だけ写真を撮らせていただきました。


 三ノ宿から北へ下り、作業道のまっさらな雪を踏んで西山へ。西山手前のピークから、白く輝く白山を遥拝。右手には乗鞍岳から立山・劔岳まで続く白い壁、左手には冠雪した荒島岳や能郷白山。西山頂部の物干し竿のような笹藪は雪の重みで倒れかかっており、その上を踏んで登頂。前回までは藪で見えなかった白山が拝めました。
 西山から雪に傾いだ笹を踏んで下り、雪に埋もれた多和ノ宿跡へ。毘沙門天を拝み、毘沙門谷を登ってゆきました。が・・・。谷の両側から雪を被った笹が倒れかかって歩きづらく、尾根の笹藪は雪が融けてきて下向きに半分跳ね上がっており、まっすぐな笹藪を登るよりもさらに大変です。多和ノ宿からいつもの倍(一時間半近く)かかって毘沙門岳登頂。毘沙門岳からの白山連峰のお姿は見事で、別山・大平壁の真っ白な雪、その右奥に山頂御前峰、わずかに頭を覗かせる大汝峰。別山の左には三ノ峰。別山は、飛騨側での呼称・四海波岳に相応しいお姿です。こらえきれず、もう一枚写真を撮ってしまいました。これだから、カメラなど持参するべきではないのです・・・。己の心の弱さ。しかし、今回は白山権現からのクリスマスプレゼント(?)です。


次回からは、再びカメラなど持たずに行じてまいります。
 毘沙門岳から旧桧峠を経て、桧峠の泰澄大師像に参拝。大師像のまん前に秋まであったゴルフ場の看板は、冬期の積雪でグニャグニャにならぬよう外されており、しばしの間、泰澄大師は車道にお目見え。積雪に備えて雪吊りがしてありました。飢えと寒さを受け容れ只管歩き、国坂ノ宿の十一面観音さまに参拝。毘沙門岳の登りで時間がかかってしまった為、旧桧峠から禅定道を下って床並社に参拝したところで暗くなり、ヘッドランプを点けて長滝へと下ってゆきました。今回は十時間半以上かかりました。次回からはさらに雪が深くなり、長滝にも積もっているかもしれません。白山権現に一年間の無事を感謝しました。
 鳩居五宿巡拝行は、私にとって白山妙理大権現との一対一の対話です。へルマン・ヘッセの小説「クヌルプ」で、主人公の放浪者が最期に吹雪の中で神さまと対話するように。また、それは天台大師の「摩訶止観」に説かれる四種三昧の「常行三昧」の応用実践でもあります。私は山を歩くとき、呼吸と歩調に合わせてみ仏の名号を念じています。三昧とは「心を一処に住して動ぜざる」こと、心を調え、心を直くし、心が定まることです。常坐三昧は90日間常に坐禅し、常行三昧は90日間常に行道し口には阿弥陀仏の名号を唱え、半行半坐三昧は坐と行を用いる法華三昧等の修行です(現在の天台宗で行われている儀式化されたものとは違います。常行三昧も同様)。そして非行非坐三昧は、行・坐のみならず行住坐臥・語・作、いついかなる時でも三昧を実践することです。車を運転する時も食事をする時も、掃除をする時も、心を調え心を直くし心が定まるように行じることです。私は、坐禅中は心が定まっていても、立てばたちまち散乱してしまいがちです。鳩居五宿巡拝の日は、朝起きてから下山するまで一切食事をとらないようにしています(山中で便をしない為でもあります)が、行後の食事や車の運転中にも三昧の心を相続することが、大事な課題です。修行中我慢していたことが行後に反動で激しくなるとしたら、そんな修行にいったい何の意味があるのでしょう?
 私にとって、白山とは神でも仏でもあると同時に、神も仏も超えたものです。これからも、白山妙理権現に一切を委ね、順禮を行じてまいる所存です。

Oh Lord,if I had anything,anything at all I'd give it to you. (U2 "Gloria")

「伴天連らの教えと予の心はなんら異ならぬことを白山権現の名において汝に誓う」(織田信長)(ルイス・フロイス「日本史」松田毅一・川崎桃太訳)
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝