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白水滝~白山登拝

 11月3日、日帰りで白山に登拝。大白川登山口からでは物足りないので、白水滝から歩き始めました。朝6時前、まだ薄明の滝の奥に、朝日に照らされた御前峰と剣ヶ峰を遥拝。


落ち葉を踏みしめ、紅葉の中を登山口へ。


登山届をポストに入れて一時間ほど登ってゆくと、山道は雪道となりました。処々、凍っていますが、アイゼンを履くほどではありません。快晴の空に聳える、御前峰と剣ヶ峰。


けっこう暖かく、上着なしで登ってゆきました。やがて、北東の奥三方岳・三方崩山の背後に立山が見えてきました。


南側には別山を遥拝。


 登山道を離れ、8時すぎに「御厨池(みくりやの池)」へ。


この池については、当ブログで今までに何度か紹介しました(2015年10月「大白川より白山登拝」、2016年2月「富士宮~村山~天子ヶ岳巡拝」、2016年6月「大白川より白山登拝」、2016年11月「白山美濃禅定道登拝」)。慶雲年中(704~708)に白山を開いた苦行人「神融」が、法華経の功力で毒龍悪鬼を籠め(「大法師浄蔵伝」)、天慶2年(939)に浄蔵法師が水を酌み(「大法師浄蔵伝」「古事談」)、天喜年中(1053~58)に日泰(日台)上人が水を酌み(「本朝世紀」「古事談」「続古事談」)、十二世紀に末代上人(富士上人)が水を酌んだ(「本朝世紀」)と伝わる池で、石徹白に伝わる「白山絵図」にも描かれています。富士山に大日寺や興法寺を建てた末代上人は、白山三所権現(御前峰・別山・大汝峰)の社殿にも鳥羽法皇御願の錫杖を立てています(「白山之記」)。池は凍ってアイスバーン状態、藪を掻き分け南側へ廻ると、薄いブルーの池の背後に、一際白い立山が拝めました。


池畔にて法華経観世音菩薩普門品を誦し、暫し坐しました。
 中ほどに石がある、淡いブルーの細長い池は、まるで仏さまの眼のよう。この池は、天に開かれた白山の眼です。神融法師は、越後の国上山でも法華経の功力で雷神を調伏しています(「大日本国法華経験記」「今昔物語集」)。白山の西因上人が「衆生ノ煩悩・邪魔ヲコノ池ニカリコムル故ニ、カリコメノ池トイフ也」(「続古事談」)と語っているのも、この池のことでしょうか。四十分ほどして坐を立ち、後でまた来ることにして白山頂へと向かいました。ハイマツの大海を泳いで登山道に出、室堂へは向かわず御前峰の尾根へと直登。



高天原辺りで登山道に合流し、9時半に御前峰登頂。白山奥宮にて般若心経と十一面観音菩薩ご真言をお唱えしました。御前峰から、大汝峰と剣ヶ峰を遥拝。


白山の溶岩ドーム・剣ヶ峰へと縦走し、北アルプスの山並を遠望しました。


立山や白馬岳の雪の白さが目立ちます。剣ヶ峰から、翠ヶ池へ。


翠ヶ池もアイスバーンです。池畔にて観音経(法華経観世音菩薩普門品)と十一面観音さまご真言をお唱えし、北側へ廻ると、剣ヶ峰の上の日輪が凍った池を照らしていました。


池の畔で暫し坐禅。御厨池が白山の眼だとすれば、白山最大の火口・翠ヶ池は、白山の心です。静寂の中、陽光に氷の割れる音が、明るく響いていました。
 翠ヶ池から大汝峰へと直登。


11時に登頂し、御前峰と剣ヶ峰・翠ヶ池を遥拝しました。


大汝社にて西因上人の願文と念仏をお唱えし、北東へ。


正面には、火の御子峰の彼方に立山・剱岳・白馬岳の白い山並。


北には、七倉山・四塚山の彼方に高倉山、吉野谷、そして日本海。


立山を遥拝しつつ坐しました。
 白山を開かれた「泰澄大師(法師、和尚)」には、「越の大徳」「越の小大徳」「古志の小大徳」「神融禅師(法師、聖人)」「金鎮法師」「金智大徳」等々、様々な名があり、出身地も越前国麻生津、越後国古志郡、加賀、と、まちまちです。そもそも、「越知山泰澄」(「泰澄和尚伝記」「元亨釈書」)と「越後国神融法師(聖人)」(「大日本国法華経験記」「今昔物語集」)がはたして同一人物なのかも疑問ですが、白山を開かれた方が元々は「コシノ(小)大徳」と呼ばれていたことは、間違いないようです。この方の伝承がある山々は、此処から見渡す日本海沿いの越前・加賀・能登、さらには白馬岳の彼方の越後にも多くあり、広大な「コシ」の海辺に広がる伝承は、「コシノ大徳」の名に相応しく感じられるのです。「越」「古志」「越知」「金智」「金鎮」といった字は、皆、「コシ」の当て字なのかもしれません。
 一時間ほどして坐を立ち、大汝峰を下って千蛇ヶ池へ。


六地蔵に参拝し、南西に赤兎山・大長山・経ヶ岳・荒島岳・能郷白山など越前・西美濃の山々を遥拝しました。


此処からは見えませんが、そのずっと彼方には、泰澄大師の伝承がある西海・平戸の安満岳。西に向かって念仏をお称えしました。御前峰頂に戻って宝篋印陀羅尼を誦し、来た道を下って13時すぎに御厨池を再訪、み仏の「眼」の前に正身端坐。朝はアイスバーンであった池の表面は、シャーベット状になっていました。御厨池は白山の眼、翠ヶ池は白山の心。眼・耳・鼻・舌・身・意の六根清浄を念いました。私の眼に見えているのは、凍った池に映る光の粒。耳に聞こえるのは、静寂、サーッという何処からともない音(谷の響きか)。日差しを受けた氷が発する、プツ。というつぶやき。鼻には、かすかな草の香り。舌は、無味・無言。身は、正身端坐。心は、これらをあるがままに受け容れ、池の氷と共に煌めき、つぶやき、融け、蒸発し、大空を漂う・・・。


 14時に坐を立ち、氷上にて白山妙理大権現に投地礼して下山。上空をハヤブサが飛んでゆきました。15時半に登山口へ下り、さらに白水滝へと足を進めると、西日を受けて輝く紅葉。


西日と白山に念仏をお称えし、今日のお導きに、大慈眼と大悲心に、感謝しました。

尚、「御厨池(みくりやの池)」について興味のある方は、過去の記事もご覧ください。

2015年10月「大白川より白山登拝」

2016年2月「富士宮~村山~天子ヶ岳巡拝」

2016年6月「大白川より白山登拝」

2016年11月「白山美濃禅定道登拝」
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松樸裏

Author:松樸裏
自由と孤独を愛するアウトサイダーと、万物の母たる大自然との一対一の対話
2006~奥美濃の藪山を登り始める
2009~白山三禅定道を毎年登拝
2016~19白山美濃馬場の古の山伏の行場「白山鳩居峯」のうち五宿を毎月巡拝、以後随時巡拝