吉備武彦命の越遠征の足跡 5 真備公
- 2023/06/09
- 20:30

(承前) 「石度白伝記」によれば、養老二年(718)に泰澄大師が白山南面の登拝路(後の白山美濃禅定道)を開いた後、天平七年(735)に聖武天皇が石徹白神社(中居神社(ちゅうきょじんじゃ))に神剣を奉納している。勅使は吉備真備(きびのまきび)であったという。吉備真備(下道真備(しもつみちのまきび))は、稚武彦命(わかたけひこのみこと)を祖とする吉備の下道臣(しもつみちのおみ)の後裔。稚武彦命の異母兄・吉備津彦命(きびつひこのみ...
白山上人縁記2 西因上人
- 2020/11/08
- 06:54

(承前) 「爰(ここ)に西因とは、本是れ肥前国松浦郡の人也。齢十有四、出家して道を求め、本郷を離れて台山に登り、登壇受戒す。其の後年々歳々、在々處々、難行苦行して、休息有ること無し。遂に此の山に到りて、永く其の棲(すみか)と為し、久修練行すること、茲(ここ)に四十三年。」西因上人の故郷・肥前国松浦郡とは、現在の佐賀県唐津市や伊万里市から長崎県松浦市、平戸市さらに五島市にまで至る一帯です。西因上人が松浦郡の...
肥前・基山登拝
- 2019/12/24
- 18:42

12月18日昼前、基山駅で下車。三ヶ月前にも訪れた神社に参拝し、観音堂にて准提観音さまにお参りしました。豪潮律師の扁額。三ヶ月前は此処から、豪潮律師が享和2年(1802)に「八万四千」宝篋印塔の最初の塔を造立された大興善寺へと行道しました。(大興善寺の宝篋印塔、2019.9)今回は、天智天皇3年(664)に椽城(基肄城(きいじょう))が築かれた基山を目指して行脚(巻頭写真)。途中、「大行事」を祀る石碑に掌を合わせました。「大...
朝倉放浪~中村医師と斉明天皇
- 2019/12/23
- 20:24

12月18日早朝に太宰府を発ち、朝倉街道駅で下車して路線バスで朝倉へ。通学の時間帯で、バスには次々と高校生たちが乗ってきます。一時間ほどで三連水車の里に着きました。東から西に流れる筑後川の北側を潤す、堀川用水。寛文2~3年(1662~63)の大干魃による飢饉を契機に寛文3年に開鑿された農業用水路です。寛政元年(1789)、用水路の山側(北側)にも水を引くために設置された、菱野の三連水車。用水路下流に歩を進めると、三島...
太宰府放浪2
- 2019/12/22
- 08:42

(承前) 観世音寺から西へ歩を進め、戒壇院にて梵網菩薩戒経偈をお唱えして大宰府政庁跡へ。真北に四王寺山(大野城)。そして真南に基山(基肄城(きいじょう))。展示館に入ると、巨大なカメムシが目につきました。展示物ではありません。キマダラカメムシです。東南アジア・台湾・中国から江戸時代に長崎に渡来し、二十世紀後半に九州北部に分布を広げ、二十一世紀に入ると本州に進出、私も今年、岐阜県で初めて出会いました。(岐阜...
太宰府放浪1
- 2019/12/21
- 20:55

12月17日朝、西鉄下大利駅で下車して南へ歩を進めると、北東から南西へと連なる長大な堤に出ました「是歳、対馬嶋・壱岐嶋・筑紫国等に、防(さきもり)と烽(すすみ)とを置く。又筑紫に、大堤を築きて水を貯へしむ。名けて水城(みづき)と曰ふ。」(「日本書紀」天智天皇三年(664)の条)北東には、大野城が築かれた四王寺山(大野山)。「達率(だちそち)憶礼福留・達率四比福夫を筑紫国に遣して、大野及椽(き)、二城を築かしむ。」(「日...
基山・豪潮律師巡礼
- 2019/09/11
- 21:52

肥後・玉名出身の天台僧・豪潮律師は、江戸時代後期に宝篋印塔八万四千造立の大願を発し、享和2年(1802)肥前・基山の大興善寺の宝塔を皮切りに九州各地に、文化14年(1817)尾張藩主・徳川斉朝に招かれて尾張に移った後は、東海各地にも多くの宝篋印塔を起塔されました。豪潮律師の宝篋印塔の壮麗さは、当ブログで度々紹介している通りです。(阿蘇・西巌殿寺、文化2年(1805)立塔、2016.10参拝時)(長崎・本河内、文化8年(1811)立塔...
豊州・豪潮律師順礼
- 2019/07/24
- 09:46

7月17日、豊前・英彦山登拝の際に拝んだ、豪潮律師の宝篋印塔。宝篋印塔とは、お釈迦さまがマガダ国で無垢妙光バラモンの供養を受けに行く途中、豊財園で礼拝した古塔に由来します。この塔は、「一切如来の無量倶胝の心陀羅尼密印法要」が中にある、み仏の全身舎利(ご遺骨)が積み集まった宝塔。現在・未来のすべてのみ仏の分身のお姿と過去諸仏の全身舎利である「宝篋印陀羅尼」を、中に納めた宝塔です。もし有情(衆生)あってよ...
英彦山~岳滅鬼山~宝珠山放浪2
- 2019/07/22
- 21:35

(承前) 英彦山北岳から13時すぎに中岳に戻り、南岳へ。本地・お釈迦さまに舎利礼文をお唱えし、鎖やハシゴを伝って下ってゆきました。雨は山頂部のみでした。鬼が伐り出したと伝わる材木石。沢に下って洗面し喉を潤し、巨大な鬼杉に参拝。沢を少し登りなおし、14時に大南神社に参詣。彦山四十九窟の一つで、不動明王が祀られています。勤行を修し、鬼杉から大南林道方面へ降下。遡上したくなるようなナメ滝を見下ろしつつ、林道を...
英彦山~岳滅鬼山~宝珠山放浪1
- 2019/07/21
- 21:42

九州の霊峰・英彦山には昨年(2018年)10月に登る予定でしたが、台風のため断念、翌日に彦山六峰の一つ・松尾山に登りました。7月17日朝、念願の英彦山へ登拝すべく、小倉駅から日田彦山線に乗車。二年前(2017年7月)の九州北部豪雨以来、添田駅~日田駅間は未だ復旧しておらす、添田駅から代行バスに乗って9時15分に彦山駅着。リュックを背負って駅舎の写真を撮っていると、地元のおじいさんが話しかけてこられ、駅舎をバックに写...