歎無常文3 万物いずれの所に帰す
- 2021/07/05
- 10:19

(承前)「対面すれば綺言し恒に相競い元より羞恥及び怕懼(おそれ)なし聖・光明・大力・恵に於て非分に諸の虚妄の語を加う衆生の多くは無明に覆われ真正の路を勤修するを肯(がえん)ぜず仏を謗(そし)り法を毀(こぼ)ち真の僧を慢(あなど)り唯だ損害を加えて相護らず汝ら智人細やかに観察せよ大界小界誰に由って作らる?建立の時何に縁りてか造る?損益二條須(すべから)く了知すべし一切の有情 諸(もろもろ)の形の類世界の成敗されしを...
歎無常文2 生時裸形死も亦しかり
- 2021/07/05
- 08:31

(承前)「肉身を愛惜するも終に須(すべから)く捨つべし但だ是れ生ぜし者は皆滅に帰す一切の財宝及び田宅捨てざらんと意(こころ)欲するも終に相別る縦(たと)い世界に於て栄華を得るとも心を摧(くだ)いて須く生死の苦を厭うべし憍慢及び非なる為(わざ)を捨て除き意(こころ)を専(もっぱ)らにして涅槃の路を勤修せよ生時裸形 死も亦爾(しか)り能く多く積聚せしも常住に非ず男女妻妾 厳身具死後他に留まり別主に供わる迥(はる)かに独り...
歎無常文1 さばくの中の化城閣
- 2021/07/04
- 23:42

「無常を歎ずる文 末思信(マール・シシン)法王 暴君の為に逼(せま)られ、因りて即ち之を製(つく)る。」 マール・シシン(「マール」は「師」の意)は、三世紀のペルシャの人。ササン朝ペルシア第二代皇帝・シャープール一世の治下、ザラスシュトラ・仏陀・イエスに続く預言者として伝道を始めたマール・マニの弟子で、マニがバフラーム一世あるいはバフラーム二世に投獄され殉教(274あるいは276、277)された後、師の後を...
中居神社~白山美濃禅定道登拝1
- 2021/06/05
- 21:31

令和三年六月一日十五時 石徹白(いとしろ)の中居神社に参拝し虚空蔵菩薩に掌を合わせ 大宮殿の脇から入峯した浄安杉から尾根を歩めば 聞こえるウグイス・シジュウカラの声左下に石徹白川の響き 足元でアオダイショウがお出迎えツツドリ・カッコウ・ホトトギス 山の静かな昼下がり斧石(よきいし)を経て一時間ほどで 美女下社跡に参拝した犬石から八丁坂下り 八つ目の谷が初河谷(はっこだに)念仏坂登り鍋倉平へ 藪が刈られて...
旅立ち
- 2021/05/15
- 14:14

Ⅰ殿は皆にこう言った。「もはやこれまでじゃ。」城は敵に完全に包囲されていた。殿は降伏よりも自決を選んだ。皆は次々と死んでゆき、殿と家老なる私だけが残った。「先にゆくがよいぞ。」殿はそうおっしゃった。私は覚悟を決め、刀を腹に向けて構えたまま、一呼吸した。正面に、観音さまの木像が祀ってあった。厨子の中に坐す尊像を見て、私はこう言った。「これであなたとも今生のお別れですね。」思いっきり、腹に刀を突き立て...
マニ讃歌
- 2021/04/14
- 22:11

称讃忙你具智王忙你(マニ) 智を具えし王を称讃せん自ずから是れ光明 妙なる寶花擢(ぬきん)でし幹 弥綸(みりん)して世界超え根果通身 並びに誉むるに堪う若し人能(よ)くこの果を食(は)めば即ち長生不死の身を得ん或いは復た彼の甘露味嘗めれば内外荘厳 心をして喜ばしむ即ち是れ衆生の倚(よ)り託(たの)む處策は持(たす)け令は安らかに堅固を得能く我等に無生滅を与う豈(あ)に心斉(ととの)え称讃し礼せざらんや珍重にして珍重な...